2026.09.15
上司の背中は見える。では、自分の背中は見えているか ――組織の現実をつくっているのは、「誰か」だけではない
齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
「あの上司には、ついていけない」 「あの人は、口では人を大切にすると言いながら、結局は数字しか見ていない」 「あんな上司にはなりたくない」 職場では、上司について多くの言葉が交わされる。上司の言動は目につきやすい。責任を取るのか、逃げるのか。部下の意見を聴くのか、自分の考えを押しつけるのか。失敗した人間を支えるのか、責めるのか。 部下は、思っている以上によく「上司の背中」を見ている。
しかし、問題は「悪い上司」だけなのだろうか
ここまでで終われば、「だから良い上司を育てなければならない」という、いつものリーダーシップ論になる。
確かに、それは必要である。
しかし、それだけでは組織の現実を十分に説明できない。
なぜなら、今日「上司が悪い」と語っている人が、数年後には上司になるからである。
そのとき何が起きるのだろう。
「あんな上司にはなりたくない」と言っていた人が、部下から、
「話を聞いてくれない」
「結局、自分の評価しか考えていない」
「失敗すると責められる」
と言われるようになる。
この光景は、決して珍しくない。
なぜなのか。
理由の一つは簡単である。
他者を評価する力と、自分を省みる力は別だからである。
上司の矛盾はよく見える。
自分の矛盾は、驚くほど見えない。
上司が会議で部下の意見を遮れば、「人の話を聞かない」と思う。しかし、自分が後輩の話を途中で遮っていることには気づかない。
上司が責任を部下に押しつければ腹が立つ。しかし、自分が失敗したとき、「そもそも指示が曖昧だった」と環境のせいにしていることには気づかない。
上司が若手を育てないことを批判しながら、自分も忙しさを理由に後輩への助言を先送りする。
つまり人間は、知らず知らずのうちに、
「他者には在り方を求め、自分には事情を認める」
という非対称な見方をしやすい。
ここから、組織の厄介な循環が始まる。
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株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。
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