フリーメイソンの成立事情を巡る対話:レン・ニュートン・ラムゼー

2018.01.28

開発秘話

フリーメイソンの成立事情を巡る対話:レン・ニュートン・ラムゼー

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/フリーメイソン(自営石工)のブルーロッジは、中世、さらには古代にまで遡る。だが、近代になって、各地のロッジを統括し、政治利用しようとするゼネコン連中や投資家連中が、その上にレッドロッジ(グランドロッジ)を作り、その支配権の争奪を始める。/

「しかし、そんな大水路を越える壮大な建設となると、いったい……」「ヘッセンカッセルは、ヴェルサイユより百年近くも前、「賢明」ヴィルヘルム四世や「博学」モーリッツの時代に、すでにフルダ川に水上庭園を造っている。そして、八六年にヴェルサイユに、石とガラスがふんだんに使ったオランジェリー、つまり、オレンジのような南半ヨーロッパの植物が育つ温室が建てられると、カール方伯は、カッセルの水上庭園にも、より大きなオランジェリーを建てた」

「後追いで大きいだけでは」「いや、カール方伯は、平坦なヴェルサイユでは造りえない、もっとすごい画期的なアイディアがあったんだ。カッセルの街の西の高台から、丘の下まで滝と噴水がいくつも連なるバロック公園だよ。水圧式のラッパの響きとともに流れ出し、最後の噴水は、高さ五〇メートルにも噴き上がる。もっとも、予算の都合で、彼が生きているうちには、その半分も出来上がらなかったが」「なんにしても、それはすごい。でも、アイディアはともかく、方伯本人が施工したわけじゃないでしょ?」「一六九九年、カール方伯が四五歳にもなってグランドツアーでイタリアを訪れ、ローマからジョヴァンニ・グエルニエロという三四歳の建築家を連れ帰ってきた。そして、その丘の頂上には、八角城を建て、これに載せた尖ったピラミッドの上に、九メートルを超える巨大なファルネーゼ・ヘラクレス像を置いた」

「十字軍要塞型の八角城の上にファルネーゼ・ヘラクレスとは、これまた、いかにもメイソンらしい。でも、水はどうしたんです? フルダ川から八角城の中の井戸からポンプで汲み上げた?」「ポンプなんか使っていないよ。森がある裏山の上の溜池から、密閉水道のサイフォン原理で、この丘の上まで水を引き上げている」「じゃ、八角城は?」「三階建ての回廊があるだけで、中は空っぽだよ」「ロトンドですか」「それも丘の上で尖塔付きだ。ブロンズ(青銅)製のファルネーゼ・ヘラクレスは、それ自体が通電性の避雷針になっているし」「オーロラや雷から電磁気エネルギーを取り出して、回廊コイルのコンデンサに電気を貯め込むつもりだったんですかね?」「実際、当時、ハレーやニュートンが必死にオーロラの研究をやっている。そうでなくても、この長大な斜面の水流庭園そのものが、水力発電装置っぽいんだよね」


ニュートンの王認協会支配

「そうそう、イングランドの方は、どうなったんですか? カトリック王が続く可能性が出て来て、清教徒のホィッグ(謀反人)党」と、国教徒の「トーリイ(山賊)党」が対立したんですよね」「ホイッグ党の方が、上手だった。革命に批判的な人々を、敵国フランスに味方する裏切り者として「ジャコバイト(ジェームズ派)」とレッテルを貼って、議会から追放していき、九四年には政権を執る」「えぐいですねぇ」「このホイッグ党政権の恩恵をもっともうけたのが、じつはニュートンなんだ。ケンブリッジ大学での弟子、チャールズ・モンタギュー三五歳が、ホイッグ党政権で大蔵大臣になって、イングランド銀行を創設。九六年には、五三歳のニュートンを造幣局長に」「どうせ何にもしないんでしょ」「それが、そうでもないんだよ。ニュートンは、自分が錬金術にどっぷり染まっていたから、ニセ硬貨なんか、一発で見抜けたんだ。偽造団を一網打尽にして、処刑台に送り込んでる」「妙な才能ですね」

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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