フリーメイソンの成立事情を巡る対話:レン・ニュートン・ラムゼー

2018.01.28

開発秘話

フリーメイソンの成立事情を巡る対話:レン・ニュートン・ラムゼー

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/フリーメイソン(自営石工)のブルーロッジは、中世、さらには古代にまで遡る。だが、近代になって、各地のロッジを統括し、政治利用しようとするゼネコン連中や投資家連中が、その上にレッドロッジ(グランドロッジ)を作り、その支配権の争奪を始める。/

「じゃ、誰?」「ニュートンのさらに背後にいたのは、おそらくヘッセンカッセル方伯カール六三歳。同年九月二七日に、息子のヴィルヘルム八世とザクセン選帝公分家筋の娘との結婚式を挙行している。このザクセン選帝公の娘の母は、プロシア選帝王フリードリヒ一世の娘。つまり、この結婚で、ヘッセンカッセル方伯、ザクセン選帝公、プロシア選帝王の三つのドイツ新教国が結びついた。そして、その祝典として、同年十一月三〇日、ファルネーゼ・ヘラクレスを載せたカッセルの八角城と水流庭園を完成させ、さかのぼって七月十七日を、その創設日にした」「しかし、ヘッセンカッセル方伯が、なぜロンドンの?」「すべては一五一七年十月三〇日、万聖節の前の晩、つまりハロウィンに、ザクセン選帝公国のルターがローマの中世的カトリック支配に異を唱えたことに始まる。それから百年目、イングランド王国のフランシス・ベーコンやヘッセンカッセル方伯国「博学」モーリッツらが薔薇十字友愛団として、北半ヨーロッパ領主連合の構想を打ち出した。そして、一七一七年は、反カトリック二百年記念の年だった。そして、これが、現代のEU統合へとつながる」

「でも、一七年にできたのは、しょせんロンドン市内の四ロッジだけの合同ですよね」「いや、一九年には、デザギュリエ本人が大ロッジ総長(グランドマスター)に就任し、次々と地方ロッジも吸収していくんだ」「抵抗しなかったんですかね?」「嫌がったところもあっただろうけれど、加盟すれば、経度委員会の老ニュートンが持っている新技術新発明の情報のおこぼれにあずかれる。でも、加盟しなければ、テロリストの「ジャコバイト」が謀議している、なんて密告される」

「たしかに、カトリックは、徹底してメイソンを嫌っていますね」「メイソンが国教会型の立憲君主制ないし大統領制をめざして、カトリック教会の大ヨーロッパヒエラルキー(神聖管理)と対立するからだろ」「いや、もっと根本的な問題ですよ。ある意味で、メイソンは、根本からキリスト教とは対立しているんです」「なんで? メイソンは、無神論でさえなければ、なんでもいいんじゃないのか?」「無神論でなければいい、というのは、神や仏法を信仰する、ということです」「そうだろうな」「ところが、キリスト教というのは、イエスを救世主として崇拝している。メイソンから言わせれば、それは人間崇拝であって、一種の無神論です」「えっ、そうなの? イエスって神なんじゃないの?」「もとは神かもしれませんが、人間として十字架に懸けられたから、人間の原罪が贖えた、って言うんでしょ。でも、人間を神と崇めるなんて、どうかしてますよ。まして、聖人ペテロから天国の門の鍵権を受け継いだというカトリックの教皇崇拝なんか論外です。それでいいなら、ローマ帝国の皇帝崇拝とどこが違うんですか?」

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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