フリーメイソンの成立事情を巡る対話:レン・ニュートン・ラムゼー

2018.01.28

開発秘話

フリーメイソンの成立事情を巡る対話:レン・ニュートン・ラムゼー

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/フリーメイソン(自営石工)のブルーロッジは、中世、さらには古代にまで遡る。だが、近代になって、各地のロッジを統括し、政治利用しようとするゼネコン連中や投資家連中が、その上にレッドロッジ(グランドロッジ)を作り、その支配権の争奪を始める。/

「それだけじゃないよ。ただでさえ王党派が多い王認協会の中で、あいつはジャコバイトだ、って、気に入らないやつを攻撃し、しだいに自分の勢力を拡大」「恐怖政治ですね」「アヘン中毒のせいで、本気で疑心暗鬼の妄想だらけだから、かなり始末が悪い。このころ、ブラウンシュヴェイクハノーファー公国のライプニッツと、双方の友人たちを巻き込んで、微積分法の先取権争いを派手にやらかしている。それで、ライプニッツの方は、ハノーファー選帝公国から、大量にフランス人新教徒を受け入れて拡大したルター派プロシア選帝公国フリードリヒ一世のベルリンに遷り、ニュートンが支配するロンドンの王認協会に対抗して、一七〇〇年、自分が会長になって「選帝公アカデミー」を創る」「ニュートンもたいがいですが、ライプニッツも性格が悪そうですね」

「でも、ライプニッツの方がうまく時代に乗っていたかな。ちょうど、一七〇一年に、スペイン継承戦争が起きて、ハプスブルク家皇帝はフランス王ルイ十四世とまた戦わなければならなくなった。これに乗じて、プロシアは公から王への格上げを要求。すんなり認められ、ライプニッツの選帝公アカデミーも、国王アカデミーに格上げ。これは、ニュートンの王認協会と違って、科学だけでなく、芸術や人文学をも含み、新時代の文化の中心となっていく」

「時代からすれば、ニュートンも、ケンカなんかするより、ライプニッツと連携した方がよかったのに。新大陸、新発明、とにかく情報を集めて乗っていかないと」「それで、新聞や雑誌、それらを置いてあって人が集まるコーヒーハウスが人気になった」「実際、そういう儲け話で一山当てた新興の小金持ちたちがいっぱいいて、次のネタを探していたんでしょ」「でも、ほんとうのいい話は、やっぱり口コミだろうね」「ああ、それでフリーメイソンか」「このころ、ロッジには、石工だけでなく、いろいろな工事関係者や事業実業家も参加するようになっていた」「ヴェルサイユやカッセルにオランジェリー(温室)ができたように、大きなガラス窓が普及したのも、このころですよね」「石炭窯と鋳型圧延で一六六八年に板ガラスが作れるようなったから」

「たとえば、ロンドンだと、どんなロッジがあったんですか?」「イニゴー・ジョーンズが作ったコヴェントガーデン内のタヴァン「リンゴの木」、その東北、同じくイニゴー・ジョーンズが手がけたリンカーンズイン広場に連なるパーカー通りのエールハウス「王冠」、そして、ウェストミンスター運河筋、現サマセットハウスあたりにあったタヴァン「酒杯にブドウ」、そして、クリストファー・レンが手がけていた聖ポール大聖堂の前のエールハウス「ガチョウに焼き網」」「まさにジョーンズとレンのロンドン再開発の足跡のままですか」

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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