第3章 教育は現場から始まる 教育担当になって間もない頃、私はあることに気づいた。 会議室で考えた研修ほど、現場では役に立たない。
第3章
教育は現場から始まる
教育担当になって間もない頃、私はあることに気づいた。
会議室で考えた研修ほど、現場では役に立たない。
もちろん、研修を企画するには資料も必要だし、カリキュラムも考えなければならない。
しかし、会議室の中だけで考えていると、教育担当者はいつの間にか「研修を作ること」が仕事になってしまう。
私が目指していたのは、そこではなかった。
現場の課題を解決すること。
それが教育担当者の仕事だと思っていた。
「どんな研修をやればいいですか。」
教育担当になった当初は、そんな質問をよく受けた。
しかし私は、逆に質問を返していた。
「今、一番困っていることは何ですか。」
「どんな場面で仕事が止まりますか。」
「どんな人材がいれば、現場はもっと良くなりますか。」
すると返ってくるのは、研修の話ではなかった。
「若手が報告・連絡・相談をしない。」
「リーダーが部下を育てられない。」
「技術はあるが、お客様との会話が苦手。」
「忙しすぎて新人を教える時間がない。」
それはすべて、現場で起きている現実だった。
私は、その話を何時間でも聞いた。
教育担当者である前に、一人の聞き役になろうと決めていたからである。
現場へ行くと、資料では分からないことがたくさん見えてくる
。
管理職の表情。
若手社員の戸惑い。
忙しそうに働くリーダー。
職場の空気。
会議の進め方。
何気ない雑談。
そうした一つひとつが、人材育成を考える上で貴重な情報だった。
アンケートでは見えない。
報告書にも書かれない。
しかし、本当の課題はそこにあった。
だから私は、教育担当者こそ現場へ行くべきだと思っていた。
教育担当は、教育の専門家ではある。
しかし、現場の専門家ではない。
だからこそ、現場を知ろうとする姿勢が欠かせない。
私は「教える前に、まず知ること」を大切にしてきた。
現場を知らずに作った研修は、どこか的外れになる。
反対に、現場を理解して設計した研修は、受講者の反応がまったく違う。
「まさに今困っていたことです。」
「自分たちの仕事を理解してくれている。」
そう感じてもらえた瞬間、教育は初めて受講者のものになる。
私は、その瞬間を何度も見てきた。
現場へ足を運ぶようになると、不思議な変化が起きた。
相談が増えたのである。
「こんな研修はできませんか。」
「この部署にも来てもらえませんか。」
「こんなことで困っているんですが。」
教育担当が現場へ来るようになると、現場との距離が一気に縮まる。
研修を売り込んだからではない。
話を聞き続けたからである。
私はそこで学んだ。
信頼は、説明ではなく対話から生まれる。
これは教育だけではなく、仕事全体に通じることだった。
2014年の取材でも、
人を育てるという仕事― 2014年の取材記事から、人材育成の本質を考える ―
人材育成コンサルタント、シニアインストラクター
● 人材育成、DX・IT、コンサル、マーケの経験を踏まえて、人材教育の新たなアプローチを探求中 明大法なのに齋藤孝ゼミ🤣 教免3種ホルダー イノベーション融合学会専務理事 教育研究家、モノカキの時は、「富士 翔大郎」と言います。天才トム・ショルツの「BOSTON」と「マニュアル車」「海外ドラマ」をこよなく愛する静岡県民
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