タイの反政府デモ騒動の根底にあるもの

画像: rubber bullets

2014.03.03

ライフ・ソーシャル

タイの反政府デモ騒動の根底にあるもの

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

衝突と膠着が続いていたタイ首都での反政府デモに新しい動きが出てきたが、今回のデモの2つの原因の両方に関する政治的妥協がない限り、この騒動は収拾には向かわない。そして「赤シャツ派 vs 黄シャツ派」の対立の根本問題は根が深すぎて、簡単に解けるものではない。

一方、タイの政府関係者と親しい人の話では相当ニュアンスが違ってくる。北部の農村に多いタクシン派の人たちはもちろん投票ではタイ貢献党を支持しているが、それは賄賂によるのではなく、とにかく農村にインフラ投資をして農業の生産性を上げ、特産物を作るための仕掛けを施してくれたタクシン政権の政策を復活させて(地域によっては維持して)欲しいとの思いだそうだ。取材した日本のTV番組で証言していた農家の主婦も、「私たちがまともな生活をできるようになったのはタクシンさんのお陰」と語り、「(黄シャツ派の連中は)私たち田舎者を馬鹿にしており、政府の金をつぎ込むことは全く無駄使いだと思っている」と怒っていた。

どうも日本での自民党による地方への無駄な公共投資とはインパクトや真剣さのレベルが違うと、小生には感じられる。そして対立の根本には、地方に公共投資をして経済的底上げをすることへの費用対効果の見方の違いがあるように思える。言い換えれば、「今まで通り、バンコク中心に富めるものをより富ませれば、そのおこぼれで地方は十分食べていける」と考える黄シャツ派と、「バンコクの連中はもう十分に稼げるようになったのだから、次は農村を豊かにする番だ」と考える赤シャツ派の対立だ(ただし黄シャツ派のうち南部の人たちは、いずれにせよ置いてけぼりなのですが…)。

利害関係の対立なのでこの根は1~2年で解けるものではなく、今後何度も噴き出すと懸念される。でも折角上昇気流に乗っているタイ経済が失速しないよう、ましてや深刻な内乱などに発展しないよう、双方には冷静な対応を期待したいものだ。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/                  弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/         代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/

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