海外を向く中小企業 (11) 東南アジア市場は経済動向より覚悟

画像: Phalinn Ooi

2013.10.07

経営・マネジメント

海外を向く中小企業 (11) 東南アジア市場は経済動向より覚悟

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

「アジア経済危機」の再来を危惧する声がある。それゆえ進出に二の足を踏む企業がいる。しかし経済動向よりも大きなリスクを覚悟することのほうが、この魅力的市場への進出には重要だ。

5月に米FRBのバーナンキ議長が量的緩和縮小の可能性を示唆して以来、国際的資金の流れが一変し、それまで米国から新興国に溢れるように流れていたマネーが逆流している。これに最も影響を受けているのがブラジル、インド、インドネシアだと言われる。その影響に加え、中国経済が失速気味なこともあり、東南アジア経済は大丈夫かと聞かれる頻度が最近増えてきた。

皆さん、「アジア経済危機」の再来を危惧しているようである。確かに環境条件は似ていなくもない。そうした質問をされる中には、東南アジア市場への進出を計画していながら、踏ん切りがつかないまま1年以上経過してしまった中堅企業の幹部の方が何割か含まれている。ますます迷ってしまっているのである。

弊社はあくまで東南アジアの一部の市場への進出を支援するだけであって、東南アジア経済の将来予測をする立場にはない。また、東南アジア経済全体がよくても、ご自分達が進出する国・地域経済、当該産業の景気動向は異なるかも知れない。それに弊社は、インドネシアは対象市場として今のところカバーしていない(タイ・台湾のような「特殊ルート」がないため)。だから一概に「大丈夫です」とか「注意が必要ですね」などと気軽には答えられない。

しかし何といっても最も気になるのは、現地の景気さえよければ進出が成功するかのように錯覚されているのではと思えることである。なぜなら、進出するならどういうビジネスモデルと事業戦略をもって現地市場を開拓するのかを突っ込んで尋ねても、明快な答えが返ってこないからである。「技術には自信がある」というだけでは明らかに足らない。こうした覚悟や準備のない企業が何となく進出して勝ち残れるような生易しい市場ではないのだ。

以前から弊社が主張していることだが、東南アジアでのビジネスは「業界秩序のない闘い」である。日本でよくあるように、大手は大手同士で、下請けはその傘下でそれぞれ競争する場合、競合が誰でどんな動きをしようとしているのか、大体は見当がつく。しかし少なくとも小生が知る東南アジア新興国の代表的市場では(日系企業同士の取引を例外として)、新興企業が大手企業の牙城に挑むのは当たり前で、いつ見知らぬ競合が出現するか、安心できない。

さらに勝ち組企業が取れるものはかっさらっていくし、一旦決まったはずの取引が後出しジャンケンの競合に奪われるのも日常茶飯事である。しかも競合の動きが素早く、ベンチャー感覚でないとついていけない。まさに「生き馬の目を抜く」世界である。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

当社は新規事業の開発・推進・見直しを中心とした戦略コンサルティング・サービスを提供しております。代表である私は、30年にわたる戦略コンサルティングと、実務での新規事業開発の経験を基に、企業の特性と事情に合わせた「実践的アプローチ」、「3倍速のスピード感」、「サイド・バイ・サイドの姿勢」を持って、経営者の思いを実現することを心掛けています。 詳しくは弊社HPをご覧ください。ご登録いただければメルマガもお届けします。 中小企業経営者のための会員制の研究会「羅針盤倶楽部」では主に「フォーカス戦略」と「新規事業開発」をテーマに講演・ワークショップを定期的に行います。 この「フォーカス戦略」および「羅針盤倶楽部」についてご興味のある方には無料ニュースレターにて関連情報をお届けしますので、下記のURLをクリックしてメールアドレスをご登録ください。 http://www.pathfinders.co.jp/app-def/S-102/cms/sq1 登録していただいた方には、フォーカス戦略の重要性が分かる小冊子ファイル「フォーカス・スピード・徹底が盛衰を分かつ」(日沖博道著『BPMがビジネスを変える』からの抜粋)を無料ダウンロードできるお知らせが届きます。

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