「最も働きたい会社ベスト100」に見る、感動サービス時代の幕開け

2009.01.23

経営・マネジメント

「最も働きたい会社ベスト100」に見る、感動サービス時代の幕開け

石塚 しのぶ
ダイナ・サーチ、インク 代表

フォーチュン誌の、「アメリカで最も働きたい会社ベスト100」の2009年の発表を見て、これからは、「感動サービス」、そして、「人財経営」の時代だと実感。

今年のランキングをさらりと見てみると、まず、2007年、2008年と2年連続で1位にランクインしたグーグルがネットアップにトップの座を明け渡して4位に、お馴染みの名前ではボストン・コンサルティングが3位、自然有機食品では世界最大のスーパーとして有名なホールフーズ・マーケットが22位、スターバックスが24位に入っている。

これらの企業に紛れて、今年、ランキング初登場でなんと23位に食い込んだのが、靴を中心とした品揃えでネット通販業を展開する「ザッポス(Zappos)」。日本では無名に近いが、アメリカでは型破りで先進的な経営スタイルでビジネス界を騒然とさせている、「旬」な企業だ。

昨年の暮れに、日本ではアマゾンが運営する靴とバッグの販売サイト「ジャヴァリ」が開設されて話題を呼んでいるが、アメリカでは、「靴のネット通販」という分野を開拓したのは、実はこの「ザッポス」なのである。

日経に掲載されていたジャヴァリに関する記事を読むと、「返品し放題の通販サイト」ということが見出しに掲げられている。タネを明かせば、米国靴ネット通販市場で、送料は行きも帰り(返品)も無料、365日返品OKというカスタマー・フレンドリーなサービスの仕組みを「当たり前」にしてしまったのは、他でもないザッポスだ。靴は試着してから買うもの。それをどうやってネットで売るのか・・・、というハードルを乗り越えるためにザッポスが初めに導入し、顧客の賞賛を得たサービスを、他社がこぞって真似たというのが実際の経緯である。

ネットというテクノロジーを用いることによって、販売プロセスから人の介入を取り除きコストを最小化する、というのが、いわゆる「ドット・コム」のオリジナルなアイデアだったが、このザッポス、その裏をかき、24時間対応でコンタクトセンターを運営し、「個」としてのお客様と、「個」としてのオペレーターのつながりに焦点を置いた感動サービスを売り物にしている。

ランキングに初登場の企業が23位という上位にランクインするのは、史上初の快挙だということで、特集記事の中でも大きく取り上げられている。ザッポスが経営の中心に据えるのは、「サービス・カルチャーの徹底」。人を重んじ、「社員ハピネス=顧客ハピネス=企業ハピネス」の構図の実現を追及した経営が注目を浴びている。

私もこの1年ほどザッポスを追いかけてきた。オバマ大統領の就任スピーチにもあったが、「Greed(欲)」の追求が大きな歪を生んできたアメリカの産業界。これからは、社員も顧客も、とにかく「人」を会社の最大のアセットとして中核に据える、新しい経営の時代が幕を開けることを願いたい。

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業でNASAプロジェクトなどに関わり経験を積んだ後、82年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「アメリカで『小さいのに偉大だ!』といわれる企業の、シンプルで強い戦略」(2016年4月、PHP研究所)、「未来企業は共に夢を見る~コア・バリュー経営~」(2013年3月発売)、「ザッポスの奇跡 改訂版 - アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略」、「顧客の時代がやってきた!売れる仕組みに革命が起きる」などがある。

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