セレブが火付け役のツイッターをビジネス眼で読み解く(後編)

2009.05.09

経営・マネジメント

セレブが火付け役のツイッターをビジネス眼で読み解く(後編)

石塚 しのぶ
ダイナ・サーチ、インク 代表

「セレブの暇つぶし」でも、「子供の遊び」でもないツイッター。ミーハーな話題に惑わされることなく、しっかりウォッチしていく必要あり。企業がその価値をどう刈り取れるのか、アメリカの事例から考察してみる。

ツイッターというツールは、ウェブの影響で促進された今どきのライフスタイルや、消費者のマインドセットにうまく合致している。ここで、キーワードをふたつ挙げよう。

キーワード① 「いつもつながっている」
これは、先に述べた、「顧客とお近づきになる」というコンセプトにも深く関連している。「デジタル・ネイティブ」と呼ばれる、80年代以降に生まれた若者たちを中心に、今どきの顧客は、「いつもつながっている」企業から買いたい、と望むようになっている。

ただ、「モノを売ってるところ」としてではなく、どんな性格の人(会社)なのか、顧客は知りたがっている。だからこそ、環境問題や社会問題について、企業がどんな考えを持っているのかが、重要になってくる。心情や感性がマッチしている会社「波長が合う」会社から、顧客は買いたい。

また、「すぐに返事をくれる」こともますます重要になってきている。最近、アメリカでは、ツイッターをカスタマー・サービスに利用する会社が出てきている。ツイッターでの書き込みをモニタリングしていて、「ひどいサービスを受けた・・・」などと苦情をつぶやく人がいると、「何かお手伝いできることはありますか」と即座に返答するのだそうだ。顧客の苦情を何としてでも避けようとする企業が多い中で、こんな行動は顧客の驚嘆と感動を生む。「私のことを気にかけてくれる」という、思いやりのブランドづくりにも役立つ。

キーワード② 「持ちつ持たれつ」
ツイッターに限らず、ウェブの世界は本質的に、「持ちつ持たれつ」が原則である。ブログにコメントを書いてもらったら、コメントバックする。友だちを紹介してもらったら、こちらも誰かを紹介する。

ツイッターは、この「持ちつ持たれつ」を実践し、顧客と、「恩義」の関係をつくっていくのに最適のツールである。ツイッターは、顧客と「いつもつながっている」ツールなので、その環境を利用して、いろいろな情報を発信していくことができる。それも、「顧客のためになる」、「顧客が面白いと思う」情報をだ。例えば、食品メーカーなら、レシピ情報を配信したり、スポーツ用品のお店だったら、スキー情報やサーフィン情報を流してもいいだろう。そこに、販促情報をうまく織り込んでいくのだ。

たいていの人は、「いつもお世話になっているから、あの会社から買おう」と思うものだ。この、「恩義」の感情に訴えない手はない。別に、顧客を「利用」するわけではない。顧客にメリットを与えて、その代わりに顧客からもメリットを享受するのだ。そして、顧客(買い手)と企業(売り手)がお互いにハッピーになる、ウィン・ウィンの関係を築くことができる。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。

フォロー フォローして石塚 しのぶの新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。