2026.10.20
組織の成長を阻害する管理職ランキング ――データで見る「組織を止める上司」10の特徴
齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
組織が成長しないとき、私たちは市場環境や人材不足、若手の主体性、制度や戦略の不備に原因を求めがちである。もちろん、それらは現実に存在する問題だ。しかし、多くの企業や組織を長年見ていると、もう一つ、避けて通れない存在がある。管理職である。
その差を生む大きな要因の一つが、学習速度である。
ある企業では、新しい技術を見つけたら小さく試し、失敗し、学び、改善し、現場へ広げる。別の企業では、情報収集し、会議し、リスクを検討し、前例を調べ、稟議し、競合他社の様子を見る。その間にも技術は進化していく。
半年の差、一年の差は、最初は小さく見える。しかし、それが3年、5年と積み重なれば、組織能力には大きな差が生まれる。やがてそれは、技術格差、生産性格差、人材格差、賃金格差、企業競争力の差へとつながっていく。
そして、多くの企業で同じことが起これば、それは日本という国全体の競争力の問題になる。
日本の労働生産性は、2024年時点でOECD38カ国中28位である。もちろん、それを管理職だけの責任にするのは乱暴だ。人口構造、産業構造、設備投資、政策、企業規模など、多くの要因が絡んでいる。
しかし、新しい知識や技術を価値へ変換する力が国や企業の競争力を左右する時代に、組織の意思決定を担う人々が学び続けられるかどうかは、決して小さな問題ではない。
「あの上司」のランキングで終わらせてはいけない
ここまで読みながら、「あの部長は3つ当てはまる」「うちの課長は完全に1位だ」と思った人もいるかもしれない。
しかし、このランキングを他人の評価に使うだけなら、本質を外してしまう。
本当に問うべきなのは、**「自分はいくつ当てはまっているだろうか」**ということである。
人間は誰でも、経験を積めば常識を持つ。成功すれば、自分なりの成功法則を持つ。役職が上がれば、人から教えられる機会も減っていく。
だからこそ成熟した管理職には、一つの覚悟が必要になる。
自分の経験を誇りながら、自分の経験を疑い続けること。
AI時代に最も危険なのは、AIを知らないことではない。新しい価値観を知らないことでもない。知らないなら、学べばいい。
本当に危険なのは、「自分はもう十分知っている」と思い始めることである。
学ばない管理職は、自分の成長を止めるだけではない。部下の可能性を止め、組織の進化を止める。そして同じ現象が社会の至るところで起これば、国の進化まで遅らせてしまう。
だから私は、「組織の成長を阻害する管理職ランキング」の第1位に、「学ばない管理職」を置きたい。
これからの管理職に求められる最大の能力は、すべての答えを持っていることではない。分からないことに出会ったときに拒絶するのではなく、近づいてみる。知らないことを恥じるのではなく学ぶ。若い人からでも、AIからでも、異なる価値観を持つ人からでも学ぶ。そして、昨日までの自分自身さえ更新していく。
学び続ける管理職がいる組織は、学び続ける組織になる。逆に言えば、管理職が学ぶことをやめた瞬間、その人の過去が組織の未来の上限になる。
テクノロジーが高速で進化する今だからこそ、私たちは最後にこの問いを、自分自身へ向ける必要がある。
あなたは今も、学び続けているだろうか。
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株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。
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