私は長年、さまざまな企業の組織創りや人材育成に関わってきた。経営者、管理職、若手社員、それぞれの立場にいる人たちと向き合いながら、チームがうまくいく理由とうまくいかない理由を見続けてきた。 その経験の中で、近年とくに強く感じていることがある。 それは、真の意味での組織創りが、以前より難しくなっているのではないかということである。
さらに、短期成果だけを重視しながら「長期的に人を育てろ」と管理職へ求めることにも矛盾がある。
企業が本気で人の成長を望むなら、研修を増やすだけでは足りない。
仕事そのものを、人が成長できる営みに変える必要がある。
任せる。考えさせる。対話する。振り返る。失敗から学ぶ。仲間を支援する。フィードバックし合う。違う意見と向き合う。後輩を育てる。そして、自分たちの仕事が誰にどんな価値を届けているのかを考える。
こうした日常の経験こそが、本当の意味で人を育てる。
良い組織とは、人が成長し続ける組織である
企業はこれまで、売上、利益、生産性、シェア、顧客満足、株主価値など、さまざまな成果を測ってきた。
どれも重要である。
しかし、もう一つ企業が問われてもよい成果がある。
この会社は、どんな人間を育てたのか。
十年間この会社で働いた人が、十年前より人の話を聞けるようになった。自分だけではなく周囲を考えられるようになった。誰かを育てられるようになった。社会について考えられるようになった。自分の人生を、自分で選べるようになった。
もしそうであるなら、その企業は利益だけではなく、社会により成熟した人間を送り出している。
私は、それも企業が生み出す重要な社会価値だと思う。
真の組織創りとは何か
私は、組織を良くするために人を成長させる、という順番には少し違和感がある。
そうではない。
一人ひとりが成長する。そのことで人と人との関係が変わり、関係が変わることで場が変わり、場が変わることでチームが変わる。その積み重ねとして、組織が変わっていく。
これが、真の組織創りなのではないかと思う。
だから、組織創りが難しくなっている今、新しい制度を導入する前に、新しい研修を始める前に、あるいは新しいAIツールを入れる前に、一度もっと根源的な問いに戻ってみてもよい。
私たちの会社では、人は成長しているだろうか。
仕事ができるようになったか、という意味だけではない。
去年より、少し他者を理解できるようになっただろうか。少し責任を引き受けられるようになっただろうか。少し広い世界を見るようになっただろうか。誰かの成長に関心を持てるようになっただろうか。
そして何より、
去年より、少しでも良い人間になっただろうか。
真の組織創りが難しくなっている理由は、組織創りの技術が不足しているからだけではないのかもしれない。
私たちがいつの間にか、
人間は、生涯を通じて成長していく存在である
という、ごく根源的な前提を忘れ始めていること。
そこに、今の組織が抱えている難しさの一つがあるのではないだろうか。
会社のために、人を成長させるのではない。
一人ひとりが、自分の人生をより豊かに生きるために成長し続ける。そして、そのような人たちが互いの成長を支え合う。その結果として、強く、温かく、価値を生み出す組織が育っていく。
私は、そこにこれからの組織創りの原点があると思っている。
CHANGE
2026.07.21
2026.07.28
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2026.09.01
2026.08.26
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。
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