先日発表された中国自動車メーカーBYDの軽EV「RACCO」の市場参入についての戦略的な意味とは、どういったものなのでしょうか?
先日、あるニュースを見て、「え、そこに来たか」と思いました。
それは、中国自動車メーカーのBYDが、日本専用の軽EV「RACCO(ラッコ)」を発売したというニュースです。
自動車業界に関連してきた方なら、この戦略の特異性に気づいたのではないでしょうか。「中国EVメーカーが日本の軽自動車市場に参入」ということですが、実はもう少し深いところを突いている出来事だと私は感じています。
今回は、このRACCOの市場参入を元に、日本の自動車市場の特性と、BYDの戦略、また、そこには、地政学リスクが大きな影響を与えている点などについて考えてみます。この構図は、自動車だけの話ではありません。
まずは、日本の軽自動車市場という「独自のマーケット」についてです。そもそも、軽自動車という規格自体、世界的にはかなり特殊な存在と言えます。しかし、日本の新車市場においては、軽自動車は全体の約4割弱(2025年1〜11月実績で36%)を占めており、かなりの規模であることがわかります。
また、これだけの規模を持つ軽自動車というカテゴリーが、税制・保険・高速料金などで、明確に優遇されているというのも、独特な仕組みです。自動車税は普通車の半分以下、重量税や高速料金にも優遇があり、任意保険も事故率の低さから割安になる。税金・保険・高速料金・場合によっては、駐車場代金もと、車を所有し続ける限り必ず発生するコストが、軽自動車には明確な優位性が制度として組み込まれているのです。
以前アメリカからは、日本の軽自動車市場は「非関税障壁ではないか」という指摘を受けたこともありましたが、この"黄色ナンバー"市場は、今日まで変わらず存在し続けてきました。また、海外メーカーが日本独自の軽自動車のレギュレーションで製品投入をしてくることもありませんでした。
日本の生活インフラに深く根を張ったレギュレーションであったからこそ、外圧があっても、揺るぎがなかった、と言えるかもしれません。そこに、中国のBYDが正面から殴り込んできた、これがRACCOです。
BYDの今回の製品戦略には、3つのポイントが挙げられます。このRACCOという製品をよく見ると、「安い中国車」ではないことが分かります。
1点目は日本独自の製品であるということです。軽自動車という規格は、日本以外には売れないと考えてよいでしょう。何故なら軽自動車規格(全長3.4m、全幅1.48m以内)は日本独自のものであり、他国に転用することは、困難です。つまりRACCOは、完全に日本市場専用として開発された車です。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。
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