私は長年、さまざまな企業の組織創りや人材育成に関わってきた。経営者、管理職、若手社員、それぞれの立場にいる人たちと向き合いながら、チームがうまくいく理由とうまくいかない理由を見続けてきた。 その経験の中で、近年とくに強く感じていることがある。 それは、真の意味での組織創りが、以前より難しくなっているのではないかということである。
今、その前提は大きく揺らいでいる。
終身雇用を当然とは考えられない。会社が人生を保障してくれるとも思えない。転職は一般的になり、副業も広がり、キャリアは自分でつくるものだという考え方が定着した。仕事以外の人生を大切にする価値観も広がっている。
これらの変化の多くは健全である。
しかし同時に、**「この組織の中で、人として一緒に成長していく」**という感覚まで薄くなってはいないだろうか。
仕事は高度化した。しかし、組織は分断されやすくなった
仕事のあり方そのものも大きく変化している。
業務は細分化され、専門化され、標準化された。役割は明確になり、KPIが設定され、成果は測定可能になった。誰が何を担当し、どの程度の成果を出したのかも、以前より把握しやすくなっている。
経営の観点から見れば、これは当然の進化である。
しかし、仕事が細かく分けられれば分けられるほど、「自分の仕事をすること」と「組織を良くすること」が分離しやすくなる。
自分のKPIを達成する。自分の案件を終わらせる。自分の評価を守る。自分のキャリアを考える。
どれも合理的である。
ところが、全員がそれぞれ自分にとって合理的に働いているにもかかわらず、組織全体としてはなぜか強くならない、ということが起こる。
それは、組織が単なる仕事の分担システムではないからである。
組織とは、本来、異なる人間が集まり、一人では生み出せない価値を生み出す場所である。そこには、協力、信頼、対話、支援、相互理解が必要になる。
つまり、個人最適が進めば進むほど、「なぜ自分たちは一緒に働くのか」という問いが重要になるのである。
管理職もまた、組織を創る余裕を失っている
組織創りの難しさは、管理職の側にもある。
現在の管理職は、成果責任だけを負っているわけではない。コンプライアンス、ハラスメント、多様な働き方、キャリア支援、メンタルヘルス、人材育成、DX、AI活用など、求められる役割は増え続けている。
しかも多くの場合、自らもプレイヤーとして成果を求められている。
パーソル総合研究所が近年、「管理職の罰ゲーム化」という言葉を取り上げている背景にも、こうした負荷の増大がある。(rc.persol-group.co.jp)
また、人材育成の重要性が叫ばれている一方で、管理職の育成力を測定している企業は十分に多いとは言えず、それを評価制度に組み込んでいる企業はさらに少ないという調査もある。(rc.persol-group.co.jp)
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2026.07.21
2026.07.28
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2026.09.01
2026.08.26
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。
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