​クリスマスツリーの起源

画像: レーダーマルクの2011年のケルプ:op-online.de のziesecke氏の写真を引用

2022.12.22

ライフ・ソーシャル

​クリスマスツリーの起源

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/クリスマス。それは、新たな年、新たな時代に向け、世界を清めるお祭り。新しい朝食の日。これまでいろいろあったにせよ、それをすべて捨てて、忘れて、新たな気持ちで新たな年を迎えたいもの。/

フランスの宿に泊まると、「朝食」にめんくらうかもしれない。クロワッサンとカフェオレだけ。イタリアだと、クロワッサンにマーマレードが入っているだけ、まだまし。でも、これが本場の「コンチネンタル・ブレックファスト」。もちろん、同じ「コンチネンタル・ブレックファスト」でも、高級ホテルだと、暖かいものが無いにしても、チーズやハムくらいは付く。

だが、マインツあたりから南、ハイデルベルクやシュツットガルトなどの南西ドイツ(ラインラントやヴュルテンブルク)だと、Weck, Worscht un Woi。ウェック、ウルシュト、ウン・ワイと読む。ベルリンのドイツ語なんかをドイツ語だと思っていると、フランクフルト・ヴュルツブルク・ニュルンベルク以南では、フランス風の単語や発音も混ざっていたりして、買い物さえできないくらい方言が強い。北のドイツ語(プロシア語)で言えば、これは、Beck, Wurst und Wein、つまり、パン、ソーセージ、ワインのこと。つまり、朝から酒だ。

パンというのも変な形で、かならず丸パン二つがつながっているPaarweck、パーウェック。さもなければ、もっと変な形の細長いWeiknorze、ワイクノルツェエ。つまり、ひしゃげたブドウの木の枝みたいなの。どのみちライ麦が多くて、黒くて、固い。同じ固いでも、いわゆるフランスパン(baguette、バギュット)のように、発酵による空気のスキマがあるわけでなく、やたらただ固くて重い。

ウルシュトは、ソーセージはソーセージなのだが、東のバイエルンのように腸皮を剥いて食べる茹で白ソーセージではないものの、やはり腸皮が固いので、冷たいまま、ナイフで剥いて、手でつまんでパンと食べる。太いものは、輪切りで薄く切る。そもそもパンもソーセージも皿は使わない。テーブルクロスに直置きだ。

ワインは、地のもの。それも、Dubbeglas、デュッべグラス、つまり、ダブルの500ミリリットル。本来は、ワインなどを炭酸で割ったショーレ用なのだが、朝食では、これで割っていないモロのワインをがぶ飲み。あいつらのアルコール耐性にはかなわない。

当然、この程度で、あのでかい連中が足りるわけがなく、9時、10時ころになると、そこらのベンチでバナナとかを食べている。そのためのバナナケースが売られていて、これに入れてカバンに持って行けば、バナナも傷まない。

なんでこんな時期に、こんな話をしているかと言うと、じつはクリスマスツリーの起源が、これだからだ。英国から米国に広まったとされるクリスマスツリーだが、もともとはハノーファー公が英国の王さまになったときに、ドイツから持っていた習慣。さらに、その大元は、Kerb、ケルプ。南西ドイツやオーストリアなどで、教会堂聖別祭で飾り付けられた木。言わば大仏開眼式のように、この祭によって、教会堂は、ただの建築物から、神と直結する神聖な空間に生まれ変わる。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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