人材成長優位の経営VSビジネスシステムの固定化優位の経営

2008.11.24

経営・マネジメント

人材成長優位の経営VSビジネスシステムの固定化優位の経営

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

今回は私の中での大きなテーマである人材成長優位の経営とビジネスシステムの固定化優位の経営の違いについて書きますね。ビジネスの仕組みを組んでいく際には非常に大きな論点になると思います。

 私が理想的、と思うのは、私自身の価値観の判断も含めて、人材成長が優位な企業ですね。

 そんなのは当たり前だと思いますか?

 過去のインサイトナウの記事から例を出してみましょう。

 以前、金森さんがお書きになった「スーパーホテル 顧客満足の秘密」という記事があります。記事はhttp://www.insightnow.jp/article/2226ですね。

 この記事の中で、言っているのは、

・素晴らしいチェーン展開のビジネスモデル
 -コスト抑制の仕組み
 -安眠へのコスト集中
 -夫婦住み込みで3年頑張れば独立開業可能

 ・・・といったことですね。

 これは、人材成長優位か、ビジネスシステムの固定化優位かと言えば、ビジネスシステムの固定化が優位ですよね?わかります?

 現状の仕組みを維持してくれれば、独立していってください、というお話しです。人は成長していきますので、このビジネスで得た経験をベースにして、頑張ってね、と。

 つまり、このビジネスはビジネスシステムの固定化を優位に考えています。

 ここで私が語るのはいい、悪いではなく、ビジネスの類型のお話しですから、そこはご容赦くださいね。

 でも、この仕組みが持つ限り、回し続けることが、この会社の手元にお金だけが残っていくモデルですよね。駄目になったら撤退する。おそらく、身軽で済む、という前提です。

 考え抜かれたビジネス設計だと思います。

 普通はそうはいきませんよね。人が出て行く前提のモデルはなかなか組めない。

 人が出て行く前提で、独立する人を輩出するモデルで有名な会社がありますよね。リクルートさんです。

 「リクルートで3年頑張ればどこでも通用する」をキャッチコピーに、離脱していってくれる人を集めています。

 人を抱える覚悟というのは、経営者としてはある意味でしんどい覚悟です。経営者自身も、人格者になる道を歩み続ける覚悟が必要になってきます。でも、私はそういう経営者のお手伝いをするほうが、好みです。

 「ビジネスモデルをしっかり組んで欲しい、人が離脱する前提で」というお話しはあまり好きではありません。ただ、こういう考え方のほうが賢いとは思いますし、非常に儲けてらっしゃる方々が多いこともわかっています。

 ただ、ビジネスを大きくしていく過程で、ビジネスシステムの変革を、従業員の成長に合せつつ遂行していく、もしくは従業員の成長を促すためにビジネスシステムを変革していく、というような方のほうが私は好きです。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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