仮説検証の必要性について改めて訴える「求められる仮説検証」シリーズの第2弾。「戦略仮説の検証」というものはどういうことを行うのかを具体例を使って紹介したい。
前回の記事にて、「戦略仮説」とは戦略策定または戦略的イシューに関わる仮説であって、自分たちが『こうじゃないか』と想定している事柄(刑事事件でいえば「容疑」)であり、まだ事実だと立証・確認できていないものだということをお伝えした。
そしてその検証というのは、その仮説が『本当にその通りなのか』と、別の切り口から裏付け確認すること(刑事事件でいえば「裏付け捜査」にあたる)だということもお伝えした。
これで「なーるほど」と大半の人が理解、納得してくれるなら、こんな楽なことはない。でも現実には「で、その『裏付け確認』って具体的にはどういうことをするのさ?」という突っ込みが今にも聞こえてきそうだ。
小生は以前にも、このコラム記事で「仮説の“検証”とはどんなもの?」シリーズの実例その1・その2・その3で具体的なケースを挙げて説明したのだが、やはり「そのケースでの話は分かった。でも他のケースではどうなの?そもそも幾つくらいのパターンがあるの?」と親しい知人から突っ込まれたことを覚えている。
戦略仮説の検証パターンは実に多様で、多分、戦略仮説のパターンの数だけ存在し、日々新しい戦略仮説が後から後から生まれ続けているから(まるで目新しい事件が日々起きているようなものだ)、検証パターンが幾つくらいあると明言することもできないのが実情だ。
仕方ないので、ここでも具体例を使って「戦略仮説の検証とはどういうことをするのか」を説明してみたいと思う。しかも先に挙げた実例その1・その2・その3で解説したパターンとなるべく違うものとしたいし、通常我々が行うように何段階にも分けて検証を行う実態を伝えたい。
なお、この具体例はあくまで「一つの例」に過ぎないことはもちろんだが、当該事例に係るクライアントの固有情報を伏せながらの解説となることをご了解いただきたい。
ここでとりあげる事例は弊社の得意パターンの一つ、「クライアントが持つ技術を基に、○○の領域で新規事業を開発できるのではないか」といった類の戦略的イシューに関わるものだ。
具体的には、ある大手企業が保有するハイテク技術をベースに、想定する用途領域にて有望なサービス市場の候補を特定したいというものだ。
このケースは、「ビジネス機会の洗い出し(と1次評価)」「深掘り検討と優先領域決め」の2フェーズで進めた。市場規模を弾き出す作業が膨大になり過ぎるのを避けるため、その対象となるターゲット候補市場をある程度絞る必要があったのだ。
経営・事業戦略
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。 ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/ ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/
