バーションアップはカネのムダ?

2022.07.26

IT・WEB

バーションアップはカネのムダ?

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/そのうち、マシンメーカーとソフトメーカーが結託して、OSの過去互換性を無くして、古いソフトを一掃してしまうのだろうか。そうなると、いよいよ新しいマシンも買いたくなくなるのかも。こんなことをやっていて、我々は、その後、「進歩」してきているのだろうか。/

正確に統計を取ったわけでもないのだが、近ごろ、バージョンアップはもう当てない、いくら何度も自動で催促されようと絶対しない、という話をよく聞く。かく言う私もそうだ。いまきちんと仕事になっているのに、まずまず使わなそうな「新機能」とやらのためにOSのバージョンアップをするのは、肝心のメインソフトの方が使えなくなるかもしれず、あまりにリスクが大きすぎる。

たしかに昔は、まともに動いていること自体が奇跡的で、バグなのか、オーバーワークなのか、突然にブラックアウトする、などということがしょっちゅうだった。そういうトラブルが解消されているのではないか、と期待して、こぞって我先にバージョンアップした。もっとも、たいてい、やっぱりダメで、それでさらに次のバージョンを心待ちにした。

いまも、ふっとぶことが無いではない。だが、昔に較べれば、はるかに安定している。むしろバージョンアップの方が、トラブルの元。あれこれのソフトを連携し使っているせいで、どれか一つでも対応外となると、それこそまったく仕事にならなくなる。それでも、ウィルスが、ハッキングが、脆弱性が、とか言われると、バージョンアップを当てないと、スキを放置したやつが悪いと言われそう。

だが、じつは、ここのところ、それ以上の問題が生じている。たとえば、一太郎。多少の改善が進んでいることを期待して、なんとなく二年ごとくらいにはバージョンアップを当ててきたが、今回はやばい。カナ漢字変換のATOKがかってにサブスクになって、前のATOKが自動で消されてしまい、毎年、サブスク更新料を払わないといけなくなる。これは、実質的には一太郎のバージョンアップを毎年、強制されるのと同じ。

それも、良くなっているのならいいのだが、もの書きには使いにくくなる一方。スマホ向けなのか、ATOKが通俗化して、話し言葉、さらには方言や略語などが得意になったせいで、書き言葉、文語、単漢字が後に追いやられ、必要な漢字がすぐに出てこない。それどころか、差別語っぽいものは、辞書そのものから消されてしまっていて、ふつうの変換では出せない。一太郎も、やたら装飾だらけになっていくが、段組やレイアウト枠のリンクなどだらけだと、あいかわらず入力ごとに「応答無し」で待たされ、仕事にならない。

それじゃあ、AdobeのIndesignか、というと、これも問題がある。こちらは、とっくの昔にサブスクになって、スーツとして同社の製品が連携してどれでも使えますよ、ということに。しかし、じゃあ、それで、というわけにはいかない事情がある。Indesignは、日本語のややこしい組版規則に対応するために、事実上、日本に特化した製品。たしかに、当時、QuarkXPressよりよくできていて、みんなこっちに乗り換えたのだが、その後の開発ポリシーがグラグラ。同じソフトなのにバージョンアップでの上位互換性が無いから、最新版だと、昔のデータの字組が崩れたり、文字欠けしたり。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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