試験に出る!いま熱い古代東西交流史(1)

2021.08.20

開発秘話

試験に出る!いま熱い古代東西交流史(1)

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/「世界史」というと、山川の教科書ですらいまだに、それは近代になって成立した、などと言う。しかし、地域史をつぎはぎにしていても、世界史は見えてこない。東西交流史を理解するには、最初から全体像を概観的に掴む文明論的視点、地球儀的思考が求められる。仮説的ながら、あえてその概観を試みてみよう。/

「世界史」というと、山川の教科書ですらいまだに、それは近代になって成立した、それまでは、それぞれが自分たちの暮らす狭い地域を世界だと思っていた、などと言う始末。しかし、文明論から眺めれば、ちまい領邦が国境でやりあうのは、むしろ近世だけのこと。それ以前、世界に国境は無く、人々は大胆に大陸を横断し、交流していた。

地域史をつぎはぎにしていても、世界史は見えてこない。東西交流史を理解するには、最初から全体像を概観的に掴む文明論的視点、地球儀的思考が求められる。とはいえ、このあたり、文字が無く、史料も少なく、謎だらけ。地道な現地調査の成果を待つばかり。しかし、仮説的ながら、あえてその概観を試みてみよう。


地球儀的思考

ヨーロッパだの、アジアだの、百年も前の帝国主義時代の、大陸の両端の低緯度を中心とした二つの地図で考えているから、世界が見えない。世界は、中世モンゴル大帝国の崩壊まで、高緯度のユーラシアハイウェイを中心に動いてきた。地球儀で言えば、それが大陸の両端をつなぐ最短距離だからだ。

とはいえ、ユーラシア大陸なんて、そもそもみな土地勘が無いのではないか。数十年前まで、そのほとんどが共産主義の鉄のカーテンの向こう側。地政学的にも、最重要地域で、軍事機密。そして、歴史の積み重ねと東西の鬩ぎ合いで、とめどない民族紛争と軍事介入。おまけに、その中心は、じつはウラン鉱石の大産地で、かなりやばい。

そもそもユーラシアなんていう名前からして、ヨーロッパ+アジアの合成語。ヨーロッパ人の感覚では、ウラル山脈までがヨーロッパ、その東がアジアらしいが、地政学的には、スレイマン山脈・パミール山地・天山山脈・アルタイ山脈・東シベリア山脈という大きな壁がある。この「ユーラシアの壁」の西がヨーロッパ世界、東がアジア世界。

かつてすべての大陸は一つだった、という百年前のパンガイア理論では、二つに割れたパンガイア大陸の南半ゴンドワナ大陸がばらけて、その一部、インド半島が5000万年前に北半ローラシア大陸に食い込み、ヒマラヤ山脈を作った、というのは有名だが、北半ローラシア大陸からして、ウラル山脈以東と以西が合わさってできたもので、それもこのユーラシアの壁まで。中国や東南アジアは、南半ゴンドワナ大陸のごちゃごちゃと裂けた断片が北半ローラシア大陸に寄ってきて、それを大きなインド半島がぐっと押しつけてくっついた、ということになっている。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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