新規事業に関するアプローチの違いは一般ビジネスパーソンには分かりにくいのが現実だろう。例えば「ブルー・オーシャン戦略」と「ビジネスモデル変革」とはどう違うのか?
つまり「ブルー・オーシャン戦略」と「ビジネスモデル変革」は両立するし、互いに独立的な戦略思考なのである。ただ実践的には両者のアプローチはかなり違う。
第一に、どちらの軸で新規事業を考えるかの戦略発想の出発点が全く違う。
「ブルー・オーシャン戦略」では新しいカテゴリーの事業を成立させるために戦略キャンバス上で競争軸をどう変えるかを検討するのが、思考の中心である。結果的に新しいビジネスモデルを必要とすることもある。
それに対し「ビジネスモデル変革」では、ビジネスモデルを変えることで顧客提供価値が変わることを初めから狙う。例えば、既存のバリューチェーンを分断して一部にフォーカスしてみる、収益モデルとしてフリーモデルを採用できないか検討してみる、等々。
もう一つ意外に知られていないが、両者の大きな違いは戦略仮説に対する検証に関する考え方である。
「ブルー・オーシャン戦略」では新カテゴリーでの市場制圧を意図するため、限定されたマーケットでの試行、というような方法は原則として取らない。
それに対し「ビジネスモデル変革」のアプローチにおいては机上でのシミュレーションだけではなく、必ずといっていいほど限定マーケットまたは限定商品での試行を行い、それで修正しながら事業拡大を目指す。新しいビジネスモデルが機能するかどうか、深刻な問題が派生しないかどうかは試行してみないと分からないからである。
既に長くなったので、海外などの「未開拓市場への進出」に関しては機会を改めて論じたいと思う。
(本記事は2012年12月6日に掲載されたものを再編集しております)
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。新規事業の開発・推進、そして既存事業の収益改善を主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/ 弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashinban/ 最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/