商社マン しんちゃん。 走る! (22)

2009.09.11

営業・マーケティング

商社マン しんちゃん。 走る! (22)

三宅 信一郎
株式会社BFCコンサルティング 代表取締役社長

~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。

【前号までのあらすじ】

海外の名だたる企業とビッグビジネスをすることを夢見て、憧れの
総合商社に入社したしんちゃんであったが、配属後すぐに地道な国
内商売の担当になってしまう。 同期が華やかな輸出入ビジネスな
どの海外取引、海外出張などグローバルなビジネスに関与しだし始
めているなか、自分は一体いつまで地味な国内商売に関与し続けな
ければならないのか?  一体いつになったら海外とのビジネスに
携わることができるのか? と、自分の抱いていた夢やあこがれと
現実のギャップに毎日悶々と自問自答する日々が続いていた。
3年目を迎えたある日、海外への飛躍の機会が突然転がりこんで来
た。  ただ、出張を命じられた国は、戦争真っただ中のイスラム
の大国、イランであった。 そこでは、日本ではとても経験できそ
うにない体験が待っていた。
いよいよ海外の顧客とのネゴシエーション(交渉)が始まった。
さー百戦錬磨の中東のクライアントにしんちゃんはどう立ち向かう
のか?

宮田は、会議の一時中断をアロイコ側に申し出て、丸の内重工内村
主任技師をはじめとする技師たちを集めて円陣を組んで小声で相談
を開始した。

「テンションレベラーは過剰だと言って来ていますが、本当ですか?」

内村に宮田は尋ねた。

内村は即座に宮田にこう言い切った。

「そんなことはありません。アルミニウム箔をやる場合必ず必要です。
 通常アルミ箔は非常に薄く、通常のアルミ圧延製品(板状に伸ばし
 た製品)以上に高い板厚精度(板の厚みの誤差)や表面粗度(表面
 がどれだけ粗いか)が求められます。 

 通常の圧延機にかけた後、アルミ箔圧延機にかけて薄くする前にテ
 ンションレベラーを通してしわ延ばしなどをするのが日本のみなら
 ず、先進国の業界では当たり前の工程です。 

 アロイコもアルミ箔をやるなら、これをはじめから導入しておかな
 いと、後で必ず市場から品質面の問題が出て、アルミニウム箔とし
 て用を成さず、結果的に消費者のクレームを買うことになると思い
 ます。
 
 宮田さん。 

日本ではアルミ箔といえば、ピカピカの表面の状態でロール状で巻
かれていますよね。 ましてや、すぐ破けるアルミ箔なんて、日本
の消費者には受け入れられません。 
ここイランの一般消費者でも、程度の差はあれ、受け入れられない
でしょう?」

 < そらそうや・・・ >

「それでは、何故他2社は提案に入れてきていないのでしょうか?」

宮田の問いかけに丸の内重工内村主任技師が答えた。

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三宅 信一郎

株式会社BFCコンサルティング 代表取締役社長

事業力強化・新規事業開発・創業支援コンサルタント (財)生涯学習開発財団認定コーチ 自動認識基本技術者 (JAISA:(社)日本自動認識システム協会)認定

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