自動車業界で激化するSDVへの巨額投資。新車売り切り型から追加ソフト販売型へのビジネスモデル転換が期待されるが、そこには「マネタイズを阻む3つの冷徹な現実」が立ちはだかる。
パソコン業界の轍を踏むか、テスラの失速が示す教訓
より本質的かつ深刻な懸念は、SDVがもたらす自動車業界の未来像が、かつての「パソコン(PC)業界の悲劇」の二の舞になるのではないかという点である。
確かにPCソフトウェア業界は世界的に巨大な市場へと成長し、現代のGAFAMに代表されるプラットフォーマーを生み出した。しかしその一方で、PCハードウェア業界はどうなったか。アーキテクチャが標準化・共通化された結果、急速にコモディティ化が進み、付加価値はすべてOSやチップベンダーに吸い上げられた。
ハードウェアメーカーは泥沼の製造コスト競争に巻き込まれ、市場は中国や台湾のメーカーに席巻された。かつて世界を席巻した日本メーカーのPC事業部が、今や見る影もないほどの縮小や身売りに追い込まれた歴史は記憶に新しい。
SDV化が進むということは、自動車の「コモディティ化」をメーカー自ら加速させる諸刃の剣でもあるのだ。
一方、この領域で先行し世界をリードしていたテスラは、SDVと自動運転技術を組み合わせた「ロボタクシー」を世界に普及させることで、ハードの利益率低下を補って余りある市場の覇権(プラットフォーム・ロイヤリティ)を握ろうとしていた。しかし、足元では肝心のEV市場そのものが世界的に失速しており、同社のEVおよびSDVへの投資の矛先も鈍りを見せているとされる。
絶対的な先行者であったテスラでさえ、ソフトウェアによる投資回収のシナリオに狂いが生じているのが現状なのだ。
経営・事業戦略
2025.09.17
2025.09.24
2025.10.20
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2026.04.16
2026.05.20
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け39年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。 ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/ ✅第二創業期の中小企業経営者向けの「個別指導型」経営塾『羅針盤倶楽部』を主宰。https://rashimban.pathfinders.co.jp/
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