人が育たない会社ほど、採用に逃げる ――離職が止まらない企業に必要なのは「人を採る力」ではなく「人が育つ器」である

2026.05.20

組織・人材

人が育たない会社ほど、採用に逃げる ――離職が止まらない企業に必要なのは「人を採る力」ではなく「人が育つ器」である

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

人が辞める。若手が続かない。現場が足りない。管理職が疲弊している。そのたびに、多くの企業はこう言う。 「もっと採用に力を入れなければならない」もちろん、採用は重要である。人がいなければ事業は回らない。 欠員が出れば、現場は苦しくなる。人手不足が深刻化する中で、採用活動を止めることはできない。 しかし、ここで問わなければならない。 なぜ、人が育たない会社ほど、採用にばかり力を入れるのか。

4. データが示しているのは、「採用」だけではなく「定着」と「育成」の重要性である

中小企業庁の2025年版中小企業白書では、人材が不足していない事業者ほど、直近3年間で採用した従業員の定着率が「7割以上」である割合が高く、人材が不足している事業者ほど、定着率が「3割未満」である割合が高いとされている。白書は、人材不足の状況下では、採用した人材の定着率を高める取組が重要だと指摘している。

これは非常に重要である。

人手不足の原因は、単に「採れないこと」だけではない。
採った人が残らないこと。
残った人が育たないこと。
育たない人を抱えた現場が疲弊すること。
疲弊した現場が、新しく来た人をさらに育てられなくなること。

つまり、人手不足は採用の問題である前に、組織の循環不全なのである。

さらに、厚生労働省の令和6年度「能力開発基本調査」では、教育訓練費用を支出した企業は54.9%、OFF-JTに支出した労働者1人当たり平均額は1.5万円である。一方、能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所は79.9%にのぼる。

この数字は、厳しい現実を突きつけている。

多くの企業が、人材育成に課題を感じている。
しかし、その課題を本気で構造化し、現場で改善し、定着させるところまで進めている企業は限られている。

育成が大事だとは分かっている。
しかし、育成の仕組みがない。
関わる時間がない。
管理職が育っていない。
育てる側が、育てられた経験を持っていない。

だから結局、採用に戻る。

人を育てる力がない企業ほど、人を採ることでしか未来を埋められなくなる。

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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