単なるIT(情報技術)による業務プロセスのデジタル化を「DX」と呼ぶのは間違っている。それを分かっていながら宣伝している行為は欺瞞でしかなく、「言った者勝ち」文化に染まったIT業界の悪い体質がまた露呈している。
こうした「真のDX」の成果を生むためには「業務や市場のどの部分にAIやデータ分析などの高度なITをどう使ってどんな成果をもたらすのか」という戦略が不可欠だ。当然、「ITによる業務プロセスのデジタル化」では成し遂げられないレベルの話だ。競争力へのインパクトも投資対効果も高い分、難しさも跳ね上がる。
世のDXプロジェクトが、この右に位置する本来のDXを実現しようと議論・検討していながら、「難しいので諦めた」または「迷走したまま」といった実態にあることも現実に少なくないようだ(弊社が調査した範囲では9割ほどがそうだった)。だから多くのITプレイヤーが指導するDXプロジェクトがここへの挑戦を避けたがるのも分かる。
でも、だからといってユーザーに対し、ただのIT化を「これがDXですよ」などと嘘をつく欺瞞行為はいただけない。IT業界は過去こんなことを繰り返してきたので(例えばただの業務パッケージの導入を「リエンジニアリング」とか「BPR」とか呼んだりしていた)、「言った者勝ち」体質の人たちが今も随分と多くいるが、これは自分たちの首を絞める行為でもある。
放っておくと「DX」というキーワードがやがて陳腐化し、嘘くさいものになってしまうだろう。それは誰にとっても望ましい結果ではない。せっかく日本経済復活の有効な手段の一つと期待できる手段を潰してしまうのは、あまりにもったいない。経営・事業戦略
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。 ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/ ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/
