リーダーシップには、いくつものスタイルがあり、状況やメンバーに応じたリーダーシップスタイルをとる必要がありますが、私は現代の時代こそ、「サーバント・リーダーシップ」が必要だと感じています。 サーバント・リーダーシップは、ロバート・グリーンリーフが1970年に提唱した「リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」というリーダーシップの考え方ですが、私が実感するサーバント・リーダーシップは、単なる部下に奉仕するリーダーシップスタイルとは少しニュアンスが異なりますので、私なりのサーバント・リーダーシップの神髄を紹介します。
殿を取り合うのが最高のチーム
リーダーシップには、いくつものスタイルがあり、状況やメンバーに応じたリーダーシップスタイルをとる必要がありますが、私は現代の時代こそ、「サーバント・リーダーシップ」が必要だと感じています。
サーバント・リーダーシップは、ロバート・グリーンリーフが1970年に提唱した「リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」というリーダーシップの考え方ですが、私が実感するサーバント・リーダーシップは、単なる部下に奉仕するリーダーシップスタイルとは少しニュアンスが異なりますので、私なりのサーバント・リーダーシップの神髄を紹介します。
私がサーバント・リーダーシップを本格的に学んだのは、ワシントン大学のリーダーシップについての授業でした。講師は、リーダーシップ教育の第一人者であるパトリック・ベティン先生です。ベティン先生は、アメリカのウェストポイントにある陸軍士官学校のリーダーシップ教育を担当し、原子力潜水艦の中でサーバント・リーダーシップの研究を行った人物で、その研究について紹介していただきました。
原子力潜水艦は、いったん港を離れると180日間にわたって潜り続け、艦内の狭さと1秒たりとも太陽を浴びないことで、乗組員には相当なストレスがかかります。乗組員の大半は、口下手でコミュニケーションが得意ではないハイパーエンジニアで、どちらかといえば、腕っぷしも強くない人たちです。
潜水艦の中で起こる事故を調べてみると、その9割がヒューマンエラーで、原因のほとんどが派閥争いやいじめといった人間関係だったそうです。そのような環境下で、どうすれば緊急時に冷静さを保ち、自ら一番リスクの高い箇所を直しに行くようになるのか。ベティン先生は、それを日本の戦国武将のあり方から学んだと言っていました。
第二次世界大戦でアメリカが日本に勝ったのは、暗号解読で情報戦を制したことと、鉄やエネルギーなどの圧倒的な資源力があったからです。しかし、局地戦での日本軍の組織力はとても強かった。ベティン先生は、見習うべきは日本の組織論であり、その源流は武士道にあると考えました。中でも強く惹かれたのが、「殿(しんがり)を務める」という思想です。
「しんがり」は、「びり」という意味合いもありますが、最後尾で戦う大将は「殿(との)」なのです。
「殿(しんがり)を務める」武将は、戦い方を熟知し、かつ度胸のある者しか務めることができません。殿に選ばれるということは大変名誉なことだったのです。
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長
1968年、千葉県生まれ。東海大学法学部卒業。 英国国立ウェールズ大学経営大学院(日本校)MBA。 新日本証券(現みずほ証券)入社後、日本未公開企業研究所主席研究員、米国プライベート・エクイティ・ファンドのジェネラルパートナーであるウエストスフィア・パシフィック社東京事務所ジェネラルマネジャーを経て、現職。
