「子ども留守番禁止条例案」の提案議員たちは誰を見ていたのか

2023.11.22

ライフ・ソーシャル

「子ども留守番禁止条例案」の提案議員たちは誰を見ていたのか

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

議論を呼んだ「子ども留守番禁止条例案」を提案した県会議員たちの眼には、自らの周辺の「恵まれた立場の人たち」の家族像しか映っていなかったのかも知れない。今回のような「市民に負担を押し付ける」非現実的な条例案を作るよりも、彼らには「先にすべきこと」がある。

確かに夫婦ともに時短勤務をしていれば、親のどちらかが子どもと一緒にいることも非現実的ではない。それがままならない場合、海外先進国ではベビーシッターを使うなどの他の選択肢が存在する。しかし日本では「正社員の時短」が大企業を除くとあまり普及しておらず、親は子どもの行事や病気の時を除いて会社を休みづらい雰囲気があるのが現実だ。

共働きの夫婦に子どもがいる場合、常にどちらかの親が子どもについていることは、今の日本だとかなり難しい。かといって赤の他人であるベビーシッターを雇うという選択肢は、経済的にも、そして(お手伝いさんに留守宅を任せるという習慣のない普通の家庭には)心理的にもハードルが高い。

こうした世の中の実態をしっかりと視野に入れておけば、今回のような「市民に負担を押し付ける」条例改正案をいきなり持ち出すことは、不見識のそしりをまぬがれないことは明白だ。

地域における学童保育(公設のもの、保護者運営の共同保育、民間運営のものなどがある)の施設や補助金を増やすなど、自治体としてすべきこと/できることはまだまだ多い。そこに知恵を出し、実現のために汗を流すことこそが県会議員として「先にやるべきこと」だろう。
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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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