まずは自転車の交通違反取り締まり徹底を

2022.07.21

経営・マネジメント

まずは自転車の交通違反取り締まり徹底を

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

道路交通法が改正され、電動キックボードの規制が緩和されることが決まったが、交通違反と交通事故の急増が懸念されている。しかし本当に懸念されており解決されるべきなのは、圧倒的台数が公道に溢れながらも野放し状態にある自転車による交通違反と交通事故である。

小生の住む町でも同様だ。自転車通行が許可されていない歩道を我が物顔で通行するばかりか、警告音を鳴らして前を行く歩行者を脇にやるママチャリの姿はごく普通。主要道路と生活道路の交差点や駅前の交差点では、車道側の信号が赤になって歩行者用信号が青になっても、そのまま横断歩道を突っ切ろうとする自転車乗りがよくいるので危なくて仕方ない。

そもそも自分たちが交通違反を犯しているという自覚すらないのが大多数だから始末に負えない。そして主に母親らしき人たちが子供の目の前でそうした交通違反を日常的に犯しているのだから、子供らが同じような行為を悪意なく繰り返すのも当然だ。

根本原因は、「自転車が軽車両であること」、すなわち歩行者の延長ではなく車両の一種だということを彼らが認識していないことにありそうだ(一体、今の学校教育には基本的な交通ルールというものは含まれていないのだろうか)。

そのため、自分の都合のよいように「車用の信号が赤でも歩行者用信号が青なら自転車もOK」「自転車は車道でも歩道でも好きなほうを走ってOK」などという勝手な解釈で、スクランブル交差点にも突っ込むし、歩道を我が物顔ですっ飛ばすのだ。

また、近頃は自転車を使ってフードデリバリーサービス業務を行う人たちが増え、配達時間に追われる彼らが半ば確信犯的に交通違反を犯しているとの指摘もある。

自覚の有無はさておき、実態として数多くの自転車ドライバーが日常的に交通違反を犯しながら事故すれすれの行為を繰り返している状態は非常に危険である。今後都市部でも高齢化がますます進むことは明白であり、そこにこうした常習的違反ドライバーが放置されていれば、当然ながら人身事故が多発するだろう。

そして往々にして、そうした安全を軽視する自転車ドライバーは保険にも入っておらず(自治体によっては義務化されているが、それでも無保険者が後を絶たない)、自分が起こした事故による被害の補償を行う資力にも乏しいケースが少なくないと考えられる。被害者も加害者も不幸になる素地が十分膨らんでいるのだ。

こうした状態を顧みると、今後は電動キックボードへの取り締まり強化だけでなく、自転車ドライバーへの交通安全教育を強化すること、保険加入を半ば強制的に推進すること、および自転車による交通違反の取り締まりを強化することのすべてを徹底すべきではないか。

要は「自転車は歩行者じゃなく車両。自転車だって道交法に違反したら切符を切られる、悪質な場合は逮捕される。人身事故を起こせば多額の賠償金を支払わねばならない」という極めて当たり前の認識を、一般の人に浸透させることが求められているのだ。電動キックボードの販促のための規制緩和より前に、こちらをきちんとしてもらいたいものだ。
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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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