サービス向上の事業成長モデル (2) 【連載サービスサイエンス:第32回】

画像: Norio Nomura

2017.05.30

経営・マネジメント

サービス向上の事業成長モデル (2) 【連載サービスサイエンス:第32回】

松井 拓己
松井サービスコンサルティング 代表

事業成長のポイントを意識してサービス向上に取り組むのと、ただ闇雲に取り組むのとでは、成果に大きな差がつきます。お客様に喜んでいただくことのその先に、事業成長に繋がる成果を見据えた組み立てをすることが大切です。

最近ではあらゆる業界でサービス化が進み、例えば今まで製造と販売の事業を行ってきた企業が、メンテナンスや管理といったサービス事業を展開するケースが増えてきています。しかし、お客様へのサービスシナリオが事業ごとに分断されてしまっていて、リピートを逃してしまっていることが少なくありません。サービスシナリオを事業の観点ではなく、お客様の視点で描き直すことで、お客様と長く良好なお付き合いを続けるためのポイントが見えてくるのではと思います。

少し余談になりますがこの考え方は、地域ブランドや地方創生にも当てはまります。地域ブランドを象徴する事業の満足度が極めて高く、この地域への関心や愛着が高まることで、地域へのリピートやクチコミが拡大し、地域の産業全体への波及効果を生み出すことができます。

このように、リピートとひとことで言っても様々です。自社にとって価値あるリピート、狙いたいリピートとはどんなものなのかを明確にしておくことが大切です。

さて、リピートについて少し理解ができました。では、リピートしたいと思っていただくためにはどうしたら良いのでしょうか。

リピートしていただくために

顧客満足向上とリピートの相関関係については、当連載で度々触れていますので、ご存知の方も多いと思います。お客様にリピートしていただくためには、少しでも満足度が高まれば良いというわけではありません。ある調査では、「やや満足」と答えた方の実に97%が「リピートしない可能性がある」ということが明らかになりました。つまり、お客様に「リピートしたい」と思っていただくためには、「大満足あるのみ」ということです。この価値観で、CS向上活動や顧客満足度調査を実施できているか、見つめ直してみる必要があります。

例えば、顧客満足度を平均値で分析していないでしょうか。顧客満足の平均値が高まっても、大満足したお客様が増えなければ、リピートは増えません。目指すべきは、「平均値」をいかに高めるかではなく、「やや満足」のお客様にどうしたら大満足していただけるかなのです。

また例えば、顧客満足度調査は「結果」だけを聞いていないでしょうか。「満足しましたか?」「正確で迅速なサービスでしたか?」「スタッフの印象は良かったですか?」など。もちろん、サービスの結果の評価はとても大切です。結果の評価が分かれば満足度の現在地が分かります。しかし、現在地が分かっても、次にどっちに向かって踏み出せば良いか分からなければ、顧客満足度調査は「調査しておしまい」になってしまいます。そこで大切なのが、そもそもどういう事前期待を持ったお客様なのかを掴むことです。例えば「やや満足」のお客様の事前期待が掴めれば、大満足していただくために具体的にどんな努力をしたら効果的なのかピンときます。

このように、CSとリピートの関係性を少し科学してみるだけで、より効果的な取り組み方が見えてくるものです。

さて次回は、④サービスを誰かに勧めたいと思っていただくことについてと、CS向上を経営貢献に繋げるための方法論について触れてみたいと思います。

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松井 拓己

松井サービスコンサルティング 代表

サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業の支援実績を有する。国や自治体、業界団体の支援や外部委員も兼務。サービスに関する講演や研修、記事連載、研究会のコーディネーターも務める。 代表著書:日本の優れたサービス シリーズ 1―選ばれ続ける6つのポイント、2―6つの壁を乗り越える変革力

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