社会インフラを考える (5) ガラパゴス化したインフラ輸出は無理

画像: Takuma Kimura

2014.04.07

経営・マネジメント

社会インフラを考える (5) ガラパゴス化したインフラ輸出は無理

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

官民こぞってのインフラ輸出熱にもかかわらず、今の日本の道路インフラ・パッケージを買ってくれる国はない。冷静に各国のニーズと受け入れ態勢を見極め、必要な機能をコンパクトにまとめる「再パッケージ化」の努力が不可欠だ。

前回の記事では、次のことを論じた。道路インフラの維持管理コストの抑制が不可欠なこと、そのための手段として現実的なものは、地域住民によるボランティア活動の取り込みと、ICT(情報通信技術)による徹底した省力化・効率化である、と。ただし民間各社が提供する測定・診断技術やシステムをどう連携させると本当に効果的なのかを、きちんと検証してから推進すべきと提案した。

その際、道路インフラ維持管理分野で有効な方法を開発できれば、海外へのインフラ輸出のキーパーツとなる可能性も十分あると述べた。それは即ち、今のままではインフラ輸出の目玉にはならないということでもある。今の日本の道路インフラは日本の特殊な道路管理事情に合わせ過ぎているため「ガラパゴス化」しており、海外では無駄な部分が多過ぎるからだ。

日本の道路インフラの「ガラパゴス化」は、道路管理者の役割が海外のそれと全く違っていることからきている。

日本での高速道路の建設は、各々の道路事業者が計画・設計から実施まで包括的に行っており、道路建設業者や設備・機器ベンダは彼らの意向を汲んで最適な施設を組み上げている。そして道路事業者が自ら維持管理を行う。

そのためそれぞれの道路事業者毎に最適化した「道路システム」(道路施設と運用管理システムを総称して仮にこう呼ぶ)が出来上がっている。国道については国交省地方整備局が同様の役割を果たし、県道については県がそれにならっている(それに対し、一般道を管轄する市町村ではほぼ無管理状態であることは、前回記事で指摘した通り)。

一方、海外では道路の設計・調達業務は、道路管理者ではなく、公共建設を専門とする設計事務所(とはいえ大企業)やエンジニアリング会社が主に行う。欧米では生涯コストを考えて「極力、標準規格品を使うように」と指定することが多いのに対し、新興国では建設コストが安ければOK、といった違いはあれど、道路管理者が細かいところまで自ら行うことはまずない。その分だけ、外部専門家の、地元事情に合わせた企画・設計能力や、標準的な規格品を使って他社(下請けとは限りません)と協業・調整する能力も発達している。

日本の事情に戻ると、高速道路に代表される有料道路では、道路・橋梁・トンネルなどの骨格となる施設が少々過剰なほど高品質に整備されているだけでなく、状況把握のためのセンサーや監視カメラ、情報伝達のための道路標識・電子表示板、それらを統括制御する巨大管理センター設備、豪華なサービスエリア・パーキングエリアなど、欧米水準からみても至れり尽くせりの付帯施設がそれぞれの道路事業者の仕様に合わせて揃っている。

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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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