オフショアBPOに潜む罠 (1)

画像: Mark Hillary

2013.07.02

経営・マネジメント

オフショアBPOに潜む罠 (1)

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

海外でシステム開発や業務処理を請け負うオフショアBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が大流行りである。しかしシステム開発の世界では、納期に間に合わない、結局高くついた、などの失敗事例が意外と多いようだ。

日本企業からシステム開発を受託する中堅・中小企業の経営者から、オフショア開発先を中国からベトナム辺りに移したいという話を立て続けに聞いた。「中国の人件費が高騰して儲からないから」と彼らの意見は共通している。しかし少し立ち入った事情を聞いてみると、問題の本質は違うように思える。

一つの典型的パターンは、日本の顧客企業のシステム要件がどんどん変化することに対応しきれずに、進捗の遅れを取り戻すために開発者数を追加投入せざるを得なくなってしまう。

もう一つのパターンは、要件通りに作ったのに、いざシステムを動かしてみると「使いづらい」と散々な不評を買ってしまい、作り直しを余儀なくされる。いずれの場合も言葉の壁のせいで随分手間取ってしまうというものだ。

結果として日本で開発していたときと大して変わらないか、却ってコスト増になってしまう。ところが海外での開発をウリにしているものだから、随分安い金額で受注しており、大きな赤字を出す事態が続出するのである。

要は、日本で開発していたときの課題(顧客の要求定義を早めに固められないことなど)が全く解決されないままオフショア開発にシフトしたため、日本側の営業SEと中国側の開発プログラマとの間のコミュニケーション・ギャップが致命症になってしまうのである。

この課題解決ができないまま、より人件費の安いところを求めて中国から東南アジアなどにシフトしても、問題は解決しないどころか、やり直すことのロスや新たに抱えるリスクのほうが却って大きくなるのではないか。

一応断っておくが、弊社は東南アジアへの進出の支援サービスも提供しており、東南アジアへのシフトに単にケチをつけたいわけではない。

英米豪がインドなどにオフショア開発させて大幅にコストダウンに成功したのは、同じ英語圏という要素がかなり効いている。それを我が同胞たちは、中国のブリッジSE(日本側との橋渡し役の現地人SE)やプログラマ諸君が日本語学校を出たというだけでビジネスモデルを模倣できると考えたようだ。そして今またベトナムで同じ失敗を繰り返そうとしている。

確かに、日本に比べれば中国の、中国に比べればベトナムのSE人件費は相対的に安い(急上昇中だが)。しかしコストだけとっても、オフショア開発拠点の管理・維持に掛かるコスト全般、ブリッジSEの人件費、伝言ゲーム的打合せに掛かる追加工数などの要素をトータルで考えて、それらの拠点選択肢を比較検討しているだろうか。日本語に堪能なブリッジSEを継続的に確保できる算段はあるのだろうか。怪しいものだ。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

弊社は新規事業の開発・推進・見直しを中心とした戦略コンサルティング・サービスを提供しております。弊社のコンサルティングの特長は次の4つです。 1.独自の「イシュー分析」手法に基づき、「どういうロジックで、何を検討するのか」というワークプラン、および「誰がいつまでに何をするのか」というWBSチャートを初期段階から明示 ⇒ 迷わない。素早く、前もって動ける。 2.社内プロジェクトチームに少数のコンサルタントが入る混成チームで進める ⇒ メンバーへ刺激。 3.ハンズオン指導と作業分担の組み合わせで進める ⇒ スピード感とメンバー成長の両立。 4.(知識・経験依存でなく)「仮説思考」「ファクトベース」を重視 ⇒ 科学的アプローチによる納得性。 詳しくは弊社HPをご覧ください。ご登録いただければメルマガもお届けします。

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