大変な時にこそ、本質を見極める:リーダーの資質が問われるとき

2010.07.29

経営・マネジメント

大変な時にこそ、本質を見極める:リーダーの資質が問われるとき

石塚 しのぶ
ダイナ・サーチ、インク 代表

ビジネスは、「七転び八起き」。「転んでもタダでは起きない」たくましさと機転が必要になります。そして、リーダーの資質は、「大変な時にこそ、本質を見極める」ことができるか否かで問われるのでは・・・。

もし、「ビジネス青春小説」という書籍カテゴリーがあったら、『Delivering Happiness』はそのジャンルに属するのではないか、と私は思っているのですが、トニー・シェイが語るザッポスの十年間は文字通り波乱万丈で、数々のアドベンチャーに満ちています。

そして、その中にも、笑いがあり、苦悩があり、喜びがあり、エキサイトメントがあり、学びがある。起業家や経営者には是非読んでいただきたい一冊だと思います。

先日書いたザッポス倒産の危機と、トニーのキリマンジャロ登山中のエピソードとちょうど同じ時期に、ケンタッキーに倉庫をオープンしたいきさつが語られています。2002年のことです。

当時、ザッポスは、サンフランシスコから車で二時間半ほど北に走ったところにあるウィローズという町に倉庫を構えていました。ある時、Eロジスティクスという会社が、倉庫業務の代行サービスの話をザッポスに持ちかけます。彼らに仕事を任せて、ケンタッキーにある倉庫から配送ができるようにしませんかというのです。

ご存知のように、アメリカは広大な国です。サンフランシスコ(西)からニューヨーク(東)まで、およそ3,000マイルの距離があります。これは、東京からバンコクまでの距離に匹敵します。ですから、西海岸のお客様の場合はいいですが、東海岸のお客様に配達する場合には、実に長い時間がかかっていた。

それに対して、アメリカのほぼ真ん中にあるケンタッキーから配送すれば、アメリカの人口の70%に、普通輸送でも2日間でリーチすることができる。おまけに、ケンタッキーにはUPSの空輸ハブもある、ということで、ザッポスでは、Eロジスティクスに倉庫業務を委託することにしたのです。

でも、全在庫をカリフォルニアからケンタッキーに「お引越し」するというのは、並大抵のことではありません。サイトの運営をストップするなんてもっての他だし、かといって、せっかく商品を買ってくれたお客様に迷惑をかけるわけにはいかない。・・・ということで、ザッポスではほぼ全社員を動員して金曜日の夕方までに全在庫をトラックに積んで、土、日をかけてケンタッキーまで輸送して、月曜の終わりまでに在庫を倉庫に格納して、火曜日から平常どおり配送作業を開始する、という大掛かりなプランを立てたんです。

その時、手持ちの在庫はなんと4万足の靴。それらすべてを大型トラック5台に詰め込み、予定通り金曜日の午後5時には、最後のトラックを送り出すことができました。

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業でNASAプロジェクトなどに関わり経験を積んだ後、82年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「アメリカで『小さいのに偉大だ!』といわれる企業の、シンプルで強い戦略」(2016年4月、PHP研究所)、「未来企業は共に夢を見る~コア・バリュー経営~」(2013年3月発売)、「ザッポスの奇跡 改訂版 - アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略」、「顧客の時代がやってきた!売れる仕組みに革命が起きる」などがある。

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