リーダーの覚悟-ザッポスCEO、トニー・シェイに学ぶ

2010.07.21

経営・マネジメント

リーダーの覚悟-ザッポスCEO、トニー・シェイに学ぶ

石塚 しのぶ
ダイナ・サーチ、インク 代表

型破りな経営手法とWOW!(驚嘆)のサービス文化で米国内外の注目を浴びるザッポス。その過去には、知られざる苦悩の日々もあった。ザッポスCEOトニー・シェイの体験が教える、「リーダーの覚悟」とは・・・?

インタビューの時には、何についても淡々と話し、決して「苦労話」をしたがらないトニーですが、彼の本の中には、ザッポス黎明期の厳しい事実が語られていて、それは、私の心を強く打ちました。

トニーは、肩書き上はザッポスの「創設者」ではありませんが、ほとんど「出来立てほやほや」のザッポスに投資し、創設者のニック・スインマーンと肩を並べてザッポスを築いてきた、という経緯があります。

トニーは、大学を卒業してすぐに設立した会社、リンクエクスチェンジを2.65億ドルでマイクロソフトに売却して、そこから得たお金を元手に、「ベンチャーフロッグ」という投資会社を設立するのですが、当初、ザッポスは、ベンチャーフロッグが投資していた何十という会社の中のひとつにしかすぎない存在でした。

しかし、トニーは個人的にどんどんザッポスにはまっていき、最終的には自分のお金をつぎ込んでザッポスの経営を支えていくことになるのです。

トニーが経営していた投資会社、ベンチャーフロッグのビジネス・モデルとは、多くの有望なベンチャー企業に小口の投資をして、それをより大きな投資会社に紹介して、大口の投資を募るというものでした。ですから、ザッポスのケースでも、はじめに小口の投資をしておいて、後に他の投資会社に紹介して、もっと大きな資金を得よう、というのが目論みでした。

あてにしていたのは、トニーの最初の会社、リンクエクスチェンジにも投資していたセコイア・キャピタル。トニーは、リンクエクスチェンジを通してセコイアにはたっぷり儲けさせたので、トニーが一枚噛んでいる会社ということだったら、ザッポスにもあっさり投資してくれるだろう、と踏んでいたのです。

しかし、そのあてがはずれて、セコイア・キャピタルは首を縦には振ってくれず・・・。ですから、初めの4年間というのは、ザッポスはベンチャーフロッグとトニーのポケットマネーだけで運営されていたということです。

投資も受けられず、融資も受けられないザッポスは、2003年のある時、もう一カ月分の運営資金しか残っていない、という窮地に立たされたのです。そこで、トニーは、自分の持ち物であった広大なロフト・コンドミニアムを売りに出します。リンクエクスチェンジの売却から得た貯金もザッポスにつぎ込んでしまって、もうほとんど残っていない。不動産としても唯一残された財産でした。それを、ベンチャーフロッグにおいては彼のビジネス・パートナーであり、個人的には友人/ファイナンシャル・アドバイザーであったアルフレッド・リンが止めるのもきかずに、売りに出したのです。

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業でNASAプロジェクトなどに関わり経験を積んだ後、82年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「アメリカで『小さいのに偉大だ!』といわれる企業の、シンプルで強い戦略」(2016年4月、PHP研究所)、「未来企業は共に夢を見る~コア・バリュー経営~」(2013年3月発売)、「ザッポスの奇跡 改訂版 - アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略」、「顧客の時代がやってきた!売れる仕組みに革命が起きる」などがある。

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