2026.10.27
あなたは、どの世界線を生きているのか 見える世界の階層化と、思考のコモディティ化
齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
あなたの隣にいる人は、本当にあなたと同じ世界を生きているのだろうか。 同じ日本に暮らし、同じ時代を生き、同じニュースに触れ、同じ会社で働いている。駅ですれ違い、同じ街で買い物をし、同じ社会制度の中で暮らしている。 それでも、その人に見えている世界は、あなたが見ている世界とは大きく違うかもしれない。
そんなことは、昔から当たり前ではないか
もちろん、人によって世界の見え方が違うこと自体は、昔からあった。
資産家と労働者、都市と農村、経営者と従業員では、生活環境も関心も違っていた。
だから、
「人によって見える世界が違うなんて、当たり前の話ではないか」
と思う人もいるだろう。
その通りである。
問題は、人によって世界が違うことそのものではない。
問題は、その違いが固定され、増幅され、しかも本人から見えにくくなっていることだ
現代社会では、自分とは違う世界に触れなくても、かなり不自由なく生きられる。
買い物は、自分の所得や趣味に合った場所を選べる。
人間関係も、所属するコミュニティも、自分に合うものを選べる。
音楽も映画もニュースも動画も、自分が好むものだけを見続けることができる。
それは確かに便利である。
しかし、便利になったということは同時に、
自分と異なる価値観や生活環境に、偶然出会う機会を失いやすくなった
ということでもある。
2023年に『Nature』に掲載された研究では、米国約960万人について、16億回規模の実社会での接触が分析された。
その結果、人口が多く多様な人々が暮らしているはずの大都市ほど、異なる社会経済階層の人々が実際には接触しにくい傾向が確認された。
つまり、
人が多ければ、世界が広がるとは限らない
むしろ選択肢が増えることで、自分と似た人がいる場所だけを選んで生きることもできる。
都市は人間を混ぜるだけではない。
人間を、より細かく住み分けさせることもできる。
ここに、現代社会の一つの逆説がある。
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株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。
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