長年調達購買機能の主要機能であると考えられていた「相見積り」と「価格査定」業務が、昨今の事業環境変化やデータの不整備によって限界があることが分かってきました。 そして、期間での買い物に対する機能として、新たな横串機能での機能、役割が求められるようになっています。 今回はこの変化や新しい主要機能について、説明していきます。
先日、あるWeb記事が目に留まりました。
売上が前年割れし、経費削減が急務になった会社の話です。大手企業から購買部長として来た方が、全案件に相見積りの実施を義務付け、また、発注については購買部の承認が必要というプロセスを義務付けました。それに対し、慣れ親しんだ既存サプライヤへの発注を続けたい現場担当者と部門長が、購買部長を説得する――という記事でした。
内容そのものよりも、私が残念に感じたのは、購買部門・購買部長という役割が、こういう形で捉えられてしまっていることです。相見積り至上主義は、分かりやすく、説明もしやすい。
しかし、それはあくまで手段でしかありません。購買部門の役割は、適切な社外からの買い物を実行する(させる)ことなのです。
今回は、この「相見積り」について、考えてみます。
従来「相見積り」と「価格査定」は調達購買機能の主業務とされていました。また、ユーザー部門に対しても、調達購買部門は相見積りを取ることを推奨します。なぜ相見積りを取るのでしょうか。本来の意味に立ち返ってみます。
相見積りは、見積りやその前提を確認しながら、見積りの構成・構造を比較し、適正な価格・品質・納期・その他の条件を確かめることです。場合によっては、サプライヤとやり取りをしながら、当初提出された見積り内容を修正してもらうこともあります。
結果として、価格だけを見れば安かったサプライヤに、あえて発注しないという判断もあり得ます。見積書(提案書)は単なる値段の紙ではなく、サプライヤの技術力やスキルを映す、コミュニケーションのツールだからです。
ここまでやることで、相見積りは意味を持ちます。
しかし、「相見積り」を義務付けると、複数のサプライヤから、単に見積りという数字を取得して、比べることにしかなりません。コミュニケーションのツールどころか、数字が正しいかどうかも分かりません。
そうなると、「相見積りをしているから適切な買い物ができている」とは言えなくなります。単に「ルール通りにやっている」ことをアピールするための手段に、なってしまうのです。
実際、一社特命購買を減らすために「競合比率」をKPIとして測っている企業もありますが、これも同じ罠にはまりがちです。相見積りをしているからといって、適切な買い物ができているとは限らないのに、KPIだけが独り歩きしてしまう。結果、要求仕様を実現する能力がない会社を形だけ連れてきて、「相見積りはしていますから」という論法に逃げ込むことになりかねません。そして、実力がないサプライヤを選定してしまい、採用後に品質や納期などの大きなトラブルにつながってしまいます。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。
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