/哲学は、もともと語るものではなく、生き方そのものです。だから、彼らの歴史上の生き方を見れば、彼らの思想もわかりますよ。とくに記録にない女性たちの人生を理解するには、実際の歴史から学ぶことが大切です。/
22.07. 民間による再開発:17C
フランスのユグノー戦争は、1598年のナント勅令によってようやく終結し、個人の信教の自由が保障されました。しかし、神聖ローマ皇帝は、再び国民全員にカトリックへの改宗を強制し、このことが三十年戦争(1618-48)を引き起こしました。一方、こうした状況を利用して、イングランドの鄕士たちは農地を羊の牧畜に転換し、村々で羊毛工芸を始めました。また、自分で働かない貴族たちは、多くの召使や女中を必要としていました。しかし、かれらは、女は人間ではないかのように、けして女の労働者を男と同じ賃金で雇おうとしませんでした。
「下層女性を搾取することで、貴族たちは自分の女たちに浪費した」
しかし、政府は大陸での戦争費用を賄うために増税を試み、これがイングランド内戦(1642-60)を引き起こしました。単発マスケット銃と長槍で武装した貴族歩兵は、王党派騎兵を凌駕し、領主や騎士の時代は終りました。ジョージ・フォックス(1624-91)は、故郷との繋がりを失った都市移民たちに説教し、神は個人の内に宿る、と言って、カトリックだろうと、プロテスタントだろうと、英国教会だろうと、教会というものを批判しました。彼は冒涜者として何度も逮捕されましたが、「神を畏れて震えろ」と答えたため、その信奉者は「クエーカー(震える者)教徒」と呼ばれるようになりました。
「フォックスは、移民たちの孤独を信仰の力へと変えた。それはカトリックでもプロテスタントでもない、近代的な宗教だ」
さらに、国際戦争が国土を荒廃させ、疫病も再び蔓延し、多くのヨーロッパ人が、戦争や飢餓、疫病で命を落としました。さらに、1666年のロンドン大火は、市のほぼ全域を焼き尽くしました。しかし、その後、貨幣経済が発展するにつれ、地方鄕士たちは、田舎の邸宅を離れて都市へ移り、「ブルジョワジー(富裕都市民)」と呼ばれるようになりました。イングランドの王立協会(1660-)は、レン(1632-1723)やニュートン(1642-1727)といった科学者たちの民間団体で、ブルジョワジーの民間的資金でロンドン市の再建を主導しました。
「都市は、私財で再開発された」
再開発は、新たな都市にさらに多くの移民を労働者として引き寄せました。都市では、クエーカー教徒も増えたもののの、かれらは迫害されました。海軍提督の息子、ウィリアム・ペン(1644-1718)は、王政復古への融資の返済として、新大陸に広大な領土を獲得しました。じつは彼もクエーカー教徒で、同志たちとともにに、そこにペンシルヴァニア(ペンの森)を建国しました。
「都市だけでなく、国さえ民間力によって築かれた」
(後半につづく)
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大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。
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