第2回  スキルは何でできているのか

第2回 スキルは何でできているのか ― 知識 × 経験というシンプルな定義 ―

スキルは何でできているのか


― 知識 × 経験というシンプルな定義 ―


前回、「正しい人事評価はできるのか?」という問いを立てた。
そこで見えてきたのは、評価が能力そのものではなく、
観測できる結果や物語を見ている、という事実だった。

では、そもそも私たちが曖昧に使っている
「スキル」や「能力」とは、何なのだろうか。

今回はまず、ここを整理したい。


スキルという言葉が、雑に使われすぎている

ビジネスの現場では、よくこんな言い方をする。
• スキルが高い
• スキル不足
• スキルを身につけろ

でも、
スキルが何でできているかを
きちんと定義して話されることは、ほとんどない。

この曖昧さが、
評価や人材開発を余計に混乱させている。


私なりの結論:スキルは「知識 × 経験」

いろいろ考えた結果、
一番シンプルで、しかも説明力が高い定義はこれだった。

スキル = 知識 × 経験

ここで言う知識とは、
単なる情報量や資格の数ではない。
• なぜそうなるのか
• どういう条件で再現できるのか

といった構造を理解した知識だ。


知識だけでは、スキルにならない

知識は、持っているだけではスキルにならない。
• 本で読んだ
• 講義で聞いた
• 分かった気がする

これらはすべて「知っている」状態であって、
「できる」状態ではない。

知識は、
経験と結びついた瞬間にだけ、スキルになる。


経験だけでも、スキルにはならない

逆に、経験だけでもスキルにはならない。

ここで重要なのは、
経験と作業は違うという点だ。
• ただやった
• 言われた通りにこなした
• 忙しかった

これは作業であって、
必ずしも経験とは言えない。

経験になるのは、
• なぜうまくいったのか
• なぜ失敗したのか
• 次はどう変えるか

こうした意味づけと振り返りがあって初めてだ。


行動はスキルではない

ここでよく出てくる反論がある。

「いや、行動が一番大事じゃないのか?」

確かに、行動しなければ何も始まらない。
ただし、整理するとこうなる。
• 行動 → 経験を生む
• 経験 → 知識と結びつく
• 知識 × 経験 → スキルになる

つまり、

行動はスキルそのものではなく、
スキルを生むための前段階

行動を過大評価すると、
「動いているだけの人」が量産されてしまう。


なぜ評価とスキルがズレるのか

ここで、第1回の話とつながる。

評価されやすいのは、
• 目立つ行動
• 分かりやすい成果
• 語りやすい経験

一方で、
• 深い知識
• 地味な経験
• 失敗しなかった判断

こうしたものは、
スキルになっていても評価されにくい。

評価はスキルの存在を
必ずしも正確に映さない。

このズレを理解していないと、
人材育成もキャリアも歪んでいく。


スキルは「足し算」ではなく「掛け算」

この定義が重要なのは、
スキルが掛け算だという点にある。
• 知識がゼロなら、スキルはゼロ
• 経験がゼロでも、スキルはゼロ

どちらか一方だけでは、
再現性は生まれない。

だから、
• 勉強しているのに成長しない
• 忙しいのに力がつかない

ということが普通に起きる。


次に考えるべき問い

ここまでで、
スキルの正体はかなりクリアになった。

すると、次の問いが自然に出てくる。

では、
マインドや行動は、能力なのか?

この問いに答えない限り、
評価や人材開発の議論は前に進まない。


次回予告

第3回:行動は能力なのか?
― 行動・経験・スキルを分けて考える ―

行動重視論が、
なぜ時に人を消耗させるのか。
その構造を整理する。

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富士 翔大郎

シニアインストラクター

● 人材育成、DX・IT、コンサル、マーケの経験を踏まえて、人材教育の新たなアプローチを探求中 明大法なのに齋藤孝ゼミ🤣 教免3種ホルダー イノベーション融合学会専務理事 教育研究家、モノカキの時は、「富士 翔大郎」と言います。天才トム・ショルツの「BOSTON」と「マニュアル車」「海外ドラマ」をこよなく愛する静岡県民

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