防火型人材は、なぜ評価されないのか ― 消火が評価され、防火が見えない理由 ―
防火型人材は、なぜ評価されないのか
― 消火が評価され、防火が見えない理由 ―
これまでの回で、
• スキルは「知識 × 経験」
• 行動は途中段階
• マインドは上流条件
という整理をしてきた。
すると、あるタイプの人が
構造的に不利になることが見えてくる。
今回は、その代表例である
「防火型人材」について考えたい。
消火と防火は、まったく違う仕事
まず、整理しておく。
消火型
• 問題が起きてから対応する
• トラブルを収束させる
• 修羅場で目立つ
• 成果が物語として語りやすい
防火型
• 問題が起きないように動く
• リスクを事前に潰す
• 調整や予防に時間を使う
• 何も起きないことが成果
どちらも、
組織には不可欠な役割だ。
なぜ消火は評価されやすいのか
理由はシンプルだ。
評価制度は「起きたこと」しか測れない
• 問題が発生した
• 誰かが対応した
• 結果が出た
この流れは、
• 観測できる
• 比較できる
• 説明しやすい
評価者にとって、
非常に扱いやすい。
なぜ防火は見えないのか
一方、防火はこうだ。
• 問題が起きない
• トラブルがない
• 数字に出ない
• 比較対象がない
結果として、
「何をしている人なのか分からない」
という評価になりやすい。
成果はある。
だが、成果が「存在しない形」をしている。
防火型が損をする構造
防火型人材が置かれがちな構造は、こうだ。
事前にリスクを潰す
↓
問題が起きない
↓
成果が見えない
↓
評価されない
これは本人の問題ではない。
評価設計の問題だ。
防火型は「失敗しない」から評価されない
ここが、かなり皮肉なポイントだ。
• 大きな失敗をしない
• 炎上させない
• 事故を起こさない
結果として、
• 武勇伝がない
• 修羅場語りができない
• 成長ストーリーが語りにくい
評価はしばしば、
失敗と克服の物語を好む。
防火型は、その物語を奪われている。
防火型は能力が低いのか?
もちろん、違う。
防火型に求められる能力は、
• 先読み
• 構造理解
• 全体最適
• 感情や利害の調整
• 長期視点
どれも高度だ。
ただし、
高度であるほど、可視化が難しい
なぜ「行動が足りない」と言われるのか
防火型がよく言われる言葉がある。
• もっと前に出て
• ちゃんと動いて
• 目立つ仕事をして
これは、
「行動=消火」という
無意識の前提があるからだ。
防火の行動は、
行動として認識されにくい。
防火型を育てようとして失敗する組織
防火型を、
• 消火型に変えよう
• もっとガツガツさせよう
とすると、
だいたい失敗する。
理由は明確だ。
認知特性と役割が合っていない
防火型を消火型に矯正するのは、
才能の浪費になりやすい。
組織が本当にやるべきこと
防火型を「鍛える」のではない。
やるべきなのは、
• 防火を評価できる形にする
• 防火を言語化する
• 防火を役割として定義する
つまり、
評価設計を変えること
防火型が生きるキャリアの視点
防火型にとって重要なのは、
• 評価される場所を選ぶこと
• 消火型が主役の環境に固執しないこと
• 構造を見る役割に回ること
能力の問題ではない。
配置の問題だ。
次に見えてくる問い
防火型を整理すると、
次に残るのはこの問いだ。
なぜ、
学業では評価されてきた人が、
社会で評価されなくなることがあるのか?
次回は、
学業評価とビジネス能力のズレ
を構造で見ていく。
次回予告
第6回:学業成績とビジネス能力はなぜズレるのか
― 評価軸の変化を構造で読む ―
【連載】人のビジネス能力を構造で考える
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シニアインストラクター
● 人材育成、DX・IT、コンサル、マーケの経験を踏まえて、人材教育の新たなアプローチを探求中 明大法なのに齋藤孝ゼミ🤣 教免3種ホルダー イノベーション融合学会専務理事 教育研究家、モノカキの時は、「富士 翔大郎」と言います。天才トム・ショルツの「BOSTON」と「マニュアル車」「海外ドラマ」をこよなく愛する静岡県民
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