第3回 行動は能力なのか? ― 行動・経験・スキルを分けて考える ―
前回、スキルを
「知識 × 経験」
と定義した。
すると、必ず出てくる反論がある。
「いや、行動が一番大事でしょう」
確かに、行動しなければ何も始まらない。
ただ、この一言が評価や人材開発を
かなりややこしくしている。
今回は、
行動を過大評価すると何が起きるのか
を整理したい。
行動=善、という危うさ
ビジネスの現場では、
こんな言葉がよく使われる。
• とにかく動け
• 手を動かせ
• 行動量が足りない
これらは間違ってはいない。
ただし、前提を外すと危険になる。
なぜなら、
行動そのものには、
成長を保証する力はない
からだ。
行動と経験は、同じではない
ここが一番混同されやすい。
• 行動した
• 忙しかった
• 量をこなした
これは事実だが、
それがそのまま経験になるわけではない。
経験になるかどうかの分かれ目は、ここだ。
• なぜそうしたのか
• 何が起きたのか
• 次はどう変えるのか
これがなければ、
行動は作業で終わる。
行動は「材料」であって「完成品」ではない
整理すると、こうなる。
• 行動 → 材料
• 経験 → 加工
• スキル → 完成品
行動は必要条件だが、
十分条件ではない。
行動は、
スキルを生むための素材にすぎない
ここを混同すると、
「頑張っているのに伸びない人」が量産される。
行動重視が生む、もう一つの歪み
行動が評価されすぎると、
別の問題も起きる。
• 目立つ行動が選ばれる
• 派手な仕事が優先される
• 防げたはずの問題が、あえて起こされる
つまり、
評価されるための行動
が増えていく。
これは個人の問題ではなく、
評価設計の問題だ。
防火型が評価されにくい理由
ここで、第1回・第2回の話とつながる。
• 問題を未然に防ぐ
• トラブルが起きないように調整する
• リスクを先に潰す
こうした行動は、
そもそも「何も起きない」。
行動はしている。
成果も出ている。
でも、
行動の痕跡が残らない
結果として、
「何をしている人か分からない」
という評価になる。
行動を能力に入れてはいけない理由
ここで、はっきり言える。
行動は能力ではない
能力とは、
• 再現性がある
• 文脈が変わっても使える
• 他者に説明できる
ものだ。
行動は、
状況依存で、その場限りのことも多い。
だから、行動を能力に含めると、
• 動いている=有能
• 動いていない=無能
という、
極端で雑な評価になる。
正しい位置づけ
ここまでを整理すると、
位置関係はこうなる。
マインド・前提
↓
行動
↓
経験
↓
スキル(知識 × 経験)
↓
能力(再現性・成果)
【連載】人のビジネス能力を構造で考える
2026.01.22
2026.01.22
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シニアインストラクター
● 人材育成、DX・IT、コンサル、マーケの経験を踏まえて、人材教育の新たなアプローチを探求中 明大法なのに齋藤孝ゼミ🤣 教免3種ホルダー イノベーション融合学会専務理事 教育研究家、モノカキの時は、「富士 翔大郎」と言います。天才トム・ショルツの「BOSTON」と「マニュアル車」「海外ドラマ」をこよなく愛する静岡県民
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