EV普及には急速充電を戦略的に進めるしかない

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2023.04.12

経営・マネジメント

EV普及には急速充電を戦略的に進めるしかない

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

他の主要国と違って日本市場でのEV普及は亀のごとく遅い。その主な要因は充電設備の整備の遅れだ。この克服は、官民の協力なくしてはあり得ない。

客としてはどうせ食事をするのに30~40分は掛かる。その間でフル充電ができるなら一石二鳥だ。「〇〇チェーンの店なら急速充電器が設置されている」と周知されれば(このプロモーションは必須)、旅行中や出張中のEVユーザーが立ち寄ってくれる集客効果が期待でき、チェーン店オーナーも話に乗りやすいだろう。

もちろんその際、急速充電器が既存の駐車場すべてに網羅されるのは経済的に無理だ。急速充電器のケーブルを長めにして1基の急速充電器で3つぐらいの駐車スペースをカバーし、「ここのスペースはEV優先」という表示をしておくというのが現実解だろう。ホテルについては急速充電器と普通充電器を取り混ぜて設置してよかろう。

中長期的にはEVメーカーとも調整・協力して急速充電器の出力強化を進めてもらいたい。

日本車で対応できる急速充電器の出力は多くの車種で50キロワットに制約されている(上位車種になると100キロワット程度まで上がるが)。規制対応で当初は仕方なかったのだろうが、これが急速充電でも30~40分以上掛かってしまう根本原因である。産業の初期設計が間違っていたとしか言いようがない。

これに対しテスラは最大250キロワットの急速充電に対応できるようになっており(米国では同社が独自にそうした強力な急速充電器網を整備しているそうだ)、15分間充電で最大275㎞走行できる仕様になっているとのことだ(つまり日本でのテスラオーナーは持てる能力よりとんでもなく低い使い方を余儀なくされているということだ)。

トヨタがレクサスのEV化を本気で進める過程で、日本政府に規制緩和を強力に働き掛けながら、こうした高出力の急速充電器網を独自に整備することで、先鞭をつける事を期待したい。
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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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