サブカルチャーの秋風の寒さ

画像: 比較のための引用

2022.11.02

ライフ・ソーシャル

サブカルチャーの秋風の寒さ

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/サブカルは、爆発的だが、局所的で寿命が短い。もちろん、それを後生大事に生きていく、というのは、その人の勝手だが、そんなものに限られた社会資源をいくら注ぎ込んでも、再ブームなど起きない。それについていまさら語ったところで、いまの若者は、自分たちのことで忙しい。/

儲けを追求する資本主義とともに、どこの国でも、ローカルで世代限定的なサブカルだらけで、いまや世代を超え、地域を越えて共有されるべき人類としてのハイカルチャーなど、息も絶え絶え。『ハムレット』や『ハックルベリー』『老人と海』など、読んだことも無い「大学生」が世界中に溢れている。もともと大学は、大衆であっても「クラス」に入りたい、せめて垣間見たい、という学生が集うところだった。しかし、デジタル成金などの登場で「クラス」が壊れてしまえば、そのクラシックなハイカルチャーも成り立たず、そもそも「クラス」に仲間入りして、人類の文化伝統へ参与してみたい、などという学生も出て来まい。

いま、どこの国でも、経済格差が固定化しつつある。そこから、人類の文化伝統に連なる新たな「クラス」が生まれるのだろうか。それとも、それを嫉妬して憎み、断絶を旗印にした成金ポップのサブカルが群雄割拠の流動激変となるのだろうか。しかしまた、反動的に、むしろそういう先鋭的な成金ポップのサブカルを徹底的に憎悪したナチス的な急進的伝統回帰の暴政が荒れ狂うことになるのか。世間がどうあれ、大学くらい、ひっそりしずかにおだやかにハイカルチャーを楽しめる場所が残ればいいのだが。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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