日本で本当にECは拡大しているのか? EC化率が8%台でとどまる

画像: 写真AC_ beauty-boxさん

2022.10.03

経営・マネジメント

日本で本当にECは拡大しているのか? EC化率が8%台でとどまる

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

「Eコマースの時代」「コロナでネットショッピングが顕著に」「買い物はネットで」などなど、いまやインターネットでの取引なくしてビジネスは成立しないとでも言うような勢いだが、本当にそうなのだろうか。

経済産業省は、「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」を実施し、日本の電子商取引市場の実態を取りまとめた。

調査によれば、令和3年の日本国内のB2C-EC市場規模は、20.7兆円(前年19.3兆円)と、前年比7.35%増だったという。世界各国との比較でいけば、日本のEC市場規模は中国、アメリカ、イギリスに続いて4位となっている。この発表を受け、日本においてもECが非常に成長しているという論調が目立つ。

しかし、果たしてそうなのか。EC化率(全ての商取引金額に対する、電子商取引市場規模の割合)はわずか8.78%で、前年より0.7ポイントの上昇にとどまっている。つまり、ECの市場規模では世界4位だが、世界各国に比べればEC化率の伸び率は低く、ECの市場規模でも今後は世界においてもシェアは少なくなっていくのではないか。

なぜ日本のEC化率は伸びないか

これだけECの隆盛が言われるなかにおいても、EC化率が1割にも届いていないのはなぜだろうか。アメリカでも13%台で推移していると言われ、日本はどう考えてもEC化率が低いままだと言わざるを得ない。

個人消費の伸び悩みに対してECの伸びは顕著であり高い成長率だと評価する向きもあるが、世界でも類を見ない充実した物流網やデジタル端末の普及率、約85%と言われるクレジットカードの保有率(18歳以上)、そしてきめ細かいサービスのノウハウを考えれば、世界各国の中でもEC化率が低くなることはなさそうに見える。

実際に、商品アイテムごとに見れば、「書籍、映像・音楽ソフト」(46.20%)、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」(38.13%)、「生活雑貨、家具、インテリア」(28.25%)となっており、アイテムによっては高いEC化率が実現している。この事実を考えれば、2割程度のEC化率となっていてもおかしくない気もする。

中国やアメリカと違い、国土が狭い分、すぐに買い物に行けるという理由はかつてから言われたが、コロナ禍で家から出るなと言われたにもかかわらず、さほどのEC化率の増加を見せなかったことを考えれば、それも違うのではないかと思える。日本人固有の「きれい好き」「清潔」の価値観を低いEC化率の理由に挙げる人もいる。確かに、徐々に増加しているとはいえ食品関連のEC化率が低いことを考えると、自分の口に入れるものに関しては自分の目で見てからでないと買わないという日本人の価値観の側面はあるかもしれない。ただ、インスタント食品やレトルト食品に対する意識調査を見ると、日本人全体として「食への意識」が諸外国と大きく違うとも思えない。

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