自己啓発の4名著をざっと要約

2021.04.05

ライフ・ソーシャル

自己啓発の4名著をざっと要約

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/セルフヘルプ(自助)やセルフメイド(自成)は、世襲と因習でがんじがらめだった前近代の身分制を打破する突破口になりました。古典で定評ある自己啓発書を手がかりに、あなたにも今よりもっと幸せになる黄金のチャンスが与えられていることを、ぜひ思い出してください。/

はじめに

 自己啓発、と言うと、信者からカネを巻き上げる、洗脳セミナーのような怪しげなイメージがあるかもしれません。しかし、仏経典や聖書、コーランなどの宗教の本はもちろん、プラトンやデカルト、カントの哲学の本も、じつは当時の自己啓発書としてこそ、大ベストセラーでした。

 国語や算数、英語などは、いやというほど学校で授業がありますが、なぜかもっと根本の《生き方》は、だれも教えてくれません。それで、みな好き勝手に自己流でやって、大失敗してようやく自分がまちがっていたことに気づくのですが、それでは、もう取り返しがつきません。

 知識ではない知恵。それは、本来、《生き方》に関するものであり、それを知る人は、たとえ学が無くとも「賢者」と呼ばれました。だから、自己啓発書の中でも世界的に定評を得ているものを厳選し、そこから《生き方》の知恵を学んで、すこしでも「賢者」に近づきたいものです。

 とはいえ、いまの世の中、まさに売るほど自己啓発書が粗製濫造されています。オレ様はこう生きてきた、おまえらもこう生きろ、というようなオレ様哲学本だらけ。でも、こういうのを出したがるのは、たいてい有名なだけで強がっているけれど、内面の自己肯定感が極端に低い怪しげな連中。本を出すことで、自分に頷き、自信の無さをごまかそうとしているだけ。こういうのは、読むだけ時間のムダ。それどころか、むしろ、一人で寂しがっている哀れな亡霊に、みずから仲間に引き込まれに行くようなもの。

 その一方、もはや古典と呼ばれるような定評ある自己啓発書も少なくありません。ただ、これらも自分を失って盲従的に文字ばかり追うと、その細部に捕われ、本来の重要な気骨を読み損なう危険性があります。そこで、今回は、その主だったものをざっと要約し、自己啓発という大きな近代のムーヴメント全体を俯瞰してみることにしましょう。


1.ジェームズ・アレン『原因と結果の法則(思ったような人になる)』1902

 近代の自己啓発書の嚆矢とも言うべき名著です。自分は自分が作る、という自己啓発の根幹を簡潔にまとめた古典で、その後の数多くの自己啓発書の基本原理となりました。

第一章「思考と人格」
第二章「環境に対する思考の影響」
第三章「健康に対する思考の影響」
 その人が何かは、その人がどう考えるか、が決める。つまり、同じ物事でも、考え方次第。それどころか、環境や健康まで、その人の考えが実際に作っていくことになります。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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