政府財政の緩んだ「タガ」がモラルハザードを生んでいる

2021.03.11

経営・マネジメント

政府財政の緩んだ「タガ」がモラルハザードを生んでいる

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

国の2021年度予算案は、一般会計の総額が106兆6097億円と過去最大となり、3年連続で100兆円を上回る。国と地方を合わせた借金は一人当たり1,000万円になろうとしている。コロナ禍に世の中が振り回される状況下ではあるが、「大盤振る舞い」のツケはいずれ我々国民が払わされることになる。無駄使いやモラルハザードを許す余裕はまったく無いはずだ。

こう見てくると、「正直者国家」を誇ったはずの日本社会もまた、何と不正に満ち溢れていることかと愕然としてしまう。そしてその原因の半分は、財政の「タガ」を思い切り緩めてしまった政治家と、彼らに尻を叩かれて緩い制度を濫発している中央官僚にある(もちろん直接には不正を実行する連中が悪いに決まっているが)。

最初に申し上げた通り、日本の財政は元々とっくに危機的状況にある。アベノミクスがもたらした景気小康期にも膨大な財政赤字を改善する努力をほとんどせずに過ごしてきたせいで、赤字公債を発行する以外の有力な方法もないまま、このコロナ禍に対し大幅な財政支出をせざるを得ないのが今の政府の実情だ。

もちろん、今のコロナ禍への対策は思い切った金額をもって迅速に執行すべきだ。とはいえ出口論を考えないまま「他人のカネ」という感覚での「大盤振る舞い」を今年度以降も続けてしまえば、日本の財政破綻は火を見るより明らかになり、不景気下での金利上昇という最悪のシナリオが現実化してしまう。

何としても政治家諸氏には、完全に緩んでしまった政府財政の「タガ」を締め直した上で、具体的な出口方策を立ててもらいたい。それが将来世代に対する責任というものだ。それに先行して、役人諸氏にはモラルハザードの蔓延を食い止めるべく制度設計を見直すと共に、不正受給やそれに準ずるグレーな行為を厳しく摘発する算段を是非とも考えてもらいたい。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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