事業経営をプロジェクトとして捉えてみる

画像: COMSEVENTHFLT

2017.07.11

経営・マネジメント

事業経営をプロジェクトとして捉えてみる

泉本 行志
株式会社アウトブレイン 代表取締役

ビジネスの潮流が様々な側面で変化する中、それを支えるマネジメントの仕組みも変化していきます。 中でも注目する1つは、「事業経営がプロジェクト化」していくこと。スピード感のある事業の舵取りが求められる中、企業体として成長・発展していくために、この「事業をプロジェクトとして捉えてマネジメントしていくやり方」が参考となるのではないでしょうか。

◆ なぜ、プロジェクトとしての存続を選択するのか?

必ずしも「永続」を前提としない、そういった事業体には緊張感があります。 より明確な目標とプランニングが必要になります。現状維持で、惰性で運営する組織に陥る可能性も低くなるでしょう。

単にオペレーションを回すことを目的にしていれば、やがてその事業組織は縮小均衡で失速します。そこで、日常業務を回すのではなくて、あくまでプロジェクトとして、前フェーズで設計・構築したオペレーションを試しながら改善していくプロジェクト活動であると捉えることで、事業価値を高め「事業継続の判断を勝ち取得る」あるいは「売却益を高める」という意味で仕事への目的意識も随分変わります。

さらには、今後このような「プロジェクト」を1社のみでやるのではなく、
複数企業間でのコラボレーションプロジェクトが増えるでしょう。

「オープンイノベーション」という考え方も進んでおり、
アイデアや技術を持った企業と、実行力を持つ企業など補完関係になる企業体が
共同でプロジェクトを立ち上げ、事業を担うケースもどんどん出てきています。

そうなると、もっとシビアになってくるでしょう。
1社内のみであれば、社内の政治的側面や個人的な関係性で、必ずしも採算・将来性が芳しくなくても運営を続ける判断も確かにあります。しかし、複数の企業の投資として立ち上がった事業としてのプロジェクトであれば、パフォーマンスが期待値に満たない場合は、売却、解消あるいは他のプロジェクトへの吸収などという判断もドライに行われる環境になっていきます。

このような環境において、プロジェクトの参加者(プレイヤー)として、
どんな付加価値を提供しているかがシビアに問われることになり、
事業としての存続価値も常にシビアに問われます。


また、プロジェクトとしてよりスピーディーに事業を立ち上げ、まずやってみて市場の反応をクイックに評価し、事業をどう方向づけしていくか、事業として存続させるべきかなど経営判断するというサイクルがものすごいスピードで回されるようになるでしょう。
そのビジネスのやり方に対応できない企業は、共同で事業を拡張していく企業連合の仲間に入ることができず、大きく遅れをとることになるかもしれません。そうならないために、事業組織はどう有るべきでしょうか。

プロジェクト単位を機軸とした事業展開、事業の継続性を前提とせず
「有期的」なプロジェクトとして、事業経営を行っていく。
どのようなプロジェクトを企画・遂行するかが企業の戦略的な意思であり、
選出した複数のプロジェクトを同時並行的に推進し、企業全体として目指すべき姿を狙っていく。


この変化に対応するには、組織構造、制度・プロセス・ワークスタイル、マネジメント・ガバナンスの仕組み、ITインフラ、パートナー企業との関係性など大きな変革に迫られることになるでしょう。 従来の枠組みに囚われることなく、その変化に適合できる新しいマネジメントシステムをどのように設計すべきか。 今後、関心を持つ企業の皆さんと協力して、トライ&エラーを繰り返しながら最適な解を見出していきたいと考えています。


続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

泉本 行志

株式会社アウトブレイン 代表取締役

フォロー フォローして泉本 行志の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。