都内有数の進学校である、広尾学園中学校・高等学校。東京大学や京都大学などの名門大学への進学のほか、スタンフォード大学など海外の大学に進学して国際舞台での活躍を目指す生徒が多いことで評判の学校だ。将来を担う人材を育てるために必要な学校経営とは、どのようなものなのか。2017年に理事長に就任した池田富一氏に、その詳細を聞いてみた。 (聞き手・仙石実・公認会計士、税理士/構成・Tokyo Edit 大住奈保子)
たとえば、当時必要だったのは知名度を0から高めてくれるような広報力のある人材でしたが、現在は生徒の英語力やコミュニケーション力を高めてくれる人材が必要になってきています。時代の流れや学校が置かれた状況に合った人材を集めていくことが、事業承継を考えるうえでもっとも重要だと感じています。
(仙石)企業にとって経営方針は重要なものですが、広尾学園の経営方針はどのようなものでしょうか。また、その理由についてもお教えください。
(池田)広尾学園の経営方針は「進化をやめない」です。1918年に順心女学校としてスタートした広尾学園は、この経営方針を軸として、2007年に共学化、インターナショナルコースの設置と、急激な進化を遂げてきました。その進化が止まった時が、組織衰退のはじまりになるだろうと考えています。
もちろん、ブレてはいけない学校の本質というのは変えるべきではありません。広尾学園では「自律」と「共生」を教育理念として掲げているのですが、その本質的な部分は時代が移り変わっても、変わらないものだと思います。
しかし、時代の変化にあわせて変えるべきところは変えていく。こうした柔軟な姿勢が大事だと考えているんです。世界中で活躍するために必要なツールは、現状では英語力やICTのスキルかもしれませんが、10年後、20年後はまったく違うものになっているかもしれません。そのときは時代の要請に合わせて進化していきたいと考えています。
高校卒業時には英語ペラペラ!?
0から「話せる英語」が身につく教育の秘訣
(仙石)広尾学園の独自のコース編成が、受験生や保護者の方々から大きく支持されているとお聞きしました。どのようなコースがあるのか、詳しくお教えいただけますでしょうか。
(池田)広尾学園にはインターナショナルコース、医進・サイエンスコース、本科コースという3つのコースがあります。どのコースにも高い専門性を有した教員を配置し、本格的な教育を行っております。
インターナショナルコースはその名の通り、国際舞台で活躍するための力を育てるコースです。コース内には中学1年からハイレベルな英語を学ぶ「アドバンストコース(AG)」のほか、基礎から英語を学ぶ「スタンダードグループ(SG)」というグループもあります。入学当初は英語力がまったくない生徒でも0から勉強を始められるのです。ここからスタートして、高校に進学する頃には授業のすべてを英語で進められるようになる。そういうカリキュラムを整えています。
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