経営者よ、コミットせよ! 成果を生む人財・組織開発に(5)

2008.02.05

組織・人材

経営者よ、コミットせよ! 成果を生む人財・組織開発に(5)

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

世界ではギャップアプローチを超えポジティブアプローチが動き出している。経済至上主義が行き詰まりを見せる中、真のブレークスルーはここにあるのではないだろうか。

ビジョン創造、企業文化の再構築の意義

 多くの企業の人事マネージャーや組織リーダーの皆様とお話していて、大変特徴的な共通的課題が鮮明になってきました。それは、企業ビジョン、組織ビジョンが明確でないことです。組織の成り立ちにおいて最も重要で本質的な要素、それは、共通ビジョンにコミットしている集団であることです。この本質的な要素なくして組織の存在意義を語ることはできません。

 しかしながら、皆(組織メンバー)がコミットするビジョンあるいは企業文化(共通的な価値観)が現実に存在していないのです。確かに数値目標やスローガンはあります。あるいは、構想や戦略もあります。しかし、それが自分のやりたいこと、自分たちの取り組みたいことになっていないのです。率直に表現するならば他人事であり、多くの組織メンバーの皆さんの意識の中に明確に位置づけられていない。前号で組織力を生み出すためのチームシップの機能について触れましたが、やり方(DO)が明示されても、あり方(BE)が伴わなければ、飛躍的な組織力が生み出されることはありません。  

 ビジョンがその本来の意義によって力を発揮するためには、ビジョンと個々の組織メンバーのマインドが連動することが不可欠です。そして、それは単に達成できたら給料が上がるとか昇進できるといった旧態の価値観で解決できるものではないのです。

 今、企業が活力を生み出し激変する市場環境に対峙するために、企業に問われているものこそ、メンバーが心から共感し、個々の利害を超越した使命感を体現するための企業ビジョン、企業文化の創造にあるのです。
 
AI(アプリシアティブ・インクワイアリー)によるビジョンの再生

 AIは、組織や個人が本質として内在している「強み」に着目し、変革力の源である私たち自身に潜在的に備わっているポジティブコアを相互インタビューによって引き出すアプローチです。ポジティブコアとは、私達が充実感や達成感に満ち、素晴らしい仲間と共に人生を謳歌するために、真に私達が大切だと感じ互いが自分らしく活躍するための根源を明確化したものです。
 AIは4Dサイクルによって具体的な変革プロセスを推進していきます。また、AIは以下のようなこれまでの手法には無い特徴を持っています。

「課題解決ではなくビジョン(理想)の実現」
「特定の誰かが決めるのではなく、全員参加」
「やり方とあり方の両面から行動変容とモチベーションの向上を実現」

次のページ真の組織変革(チェンジマネジメント)を実現するためのテーマ

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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