メモリー型とCPU型と目利き型

2026.02.04

経営・マネジメント

メモリー型とCPU型と目利き型

野町 直弘
調達購買コンサルタント

あなたは「メモリー型」「CPU型」それとも「目利き型」どのタイプでしょうか?

知人のあるコンサルタントに言わせると、人間はコンピュータと同じように「メモリー型」と「CPU型」の2タイプに分類されるそうです。

前者は記憶力に長けた人、後者は発想力や処理能力が高い人を指します。

私は完全に後者の「CPU型」。昔から記憶力には全く自信がありません。そのため、よく周囲から「言っていることが、ころころ変わる」と言われてきました。それに対しては「いつも考えているから、アップデートされるのは当たり前です」と言い返してはいたものの、内心では「そんなこと言ったかな……」と、記憶力の良い人にはいつも頭が上がらない思いでいた次第です。

昨今の生成AIの進化により、世間では「メモリー型の人間は不要になり、CPU型だけが付加価値をもたらす」といった説が一般化してきました。しかし最近、どうも話はそう単純ではないように感じています。

現状、AI活用の動向として「情報収集や要約」は生成AIの得意分野だとされています。これはおそらく正しいのでしょうが、私にはどうしても拭えない違和感があるのです。

長年のコンサルタント経験において、情報収集の際に最も気をつけてきたのは、「それが誰(何)からの情報か」という点でした。言い換えれば、情報の確からしさを論理的に判断するための基準です。

たとえば、Web上の一般情報であれば、媒体によって情報源を明確にし、論理的に説明されているかどうかで、ある程度の信用度を測ることができます。これは人に対しても同様です。

「Aさんの情報は、いつも論理的な裏付けがあり、精度が高い」「一方、Bさんの情報は思いつきが多く、信頼性に欠ける」 私たちは無意識に、このような基準で情報の価値や正確性を評価してきました。

AIを活用した情報収集でも、こうしたソースの確認を行えば済む話かもしれません。しかし、そのうち「チャッピー(AI)が言っていたから」と鵜呑みにするようになれば、そこには大きなリスクが潜んでいます。同時に、メモリー型の人材が担ってきた「情報の真偽を見極める力」を振るう機会さえ失われてしまうのではないか。そう危惧せざるを得ません。

次に「要約」ですが、生の会議などにおいては、生成AIの精度はまだ十分とは言えないでしょう。誰がどのようなトーンや表情で話したか、という文脈までは感じ取れないからです。

そもそも「要約力」は、コンサルタントにとって不可欠な能力であり、徹底的に鍛えられるものです。

なぜなら、「要約できないと、理解できない。 理解できないと、説得できない。」

このように、理解力の前提となる要約力は、あらゆるビジネスパーソンに求められる素養と言えます。

AIは、文章のポイントを外さず要約することには長けています。しかし、AIが作った要約を読むだけで、その人は本当に内容を理解できるのでしょうか。

理解を深めるには、自ら要約するプロセスが欠かせません。この点においてメモリー型の人間は非常に高い能力を持っています。

自分で要約しなければ、何が本質で、何を言いたいのかを掴むことは難しいでしょう。また、深く理解できていなければ、相手の言葉を繰り返したり、確認したりすることも叶わないはずです。

こうした「情報収集・要約・理解・説明」という一連の流れは、現時点では、簡単に生成AIで置き換えられるものではないと私は考えています。

ただ、これも技術の進歩で、すぐに解決される課題なのかもしれません。私たちは常に技術の進化の中で、仕事をし、生活をしています。

だからこそ、技術の効用と限界を知り、何ができて何ができないのかを見極める力――。 いわば「目利き型」としての能力が、メモリー型やCPU型と同様に、今もっとも求められているのではないでしょうか。

(野町 直弘)

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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