コンセプチュアル思考〈第12回〉 物事のとらえ方を研ぎ澄ませる

画像: Career Portrait Consulting

2016.08.10

組織・人材

コンセプチュアル思考〈第12回〉 物事のとらえ方を研ぎ澄ませる

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

概念を起こす力・意味を与える力・観をつくる力を養う『コンセプチュアル思考』のウェブ講義シリーズ

◆物事のとらえ方を精錬する6つの方法
物事のとらえ方を研ぎ澄まし、とらえた内容(すなわちコンセプト)を精錬していく方法はさまざまあります。「コンセプチュアル思考」では、下図のように大きく6つの種類で分けて考えています。



この中で、最もシンプルでありながら、最も強力な発想法なのが、「1-a:掛け合わせる」です。独創的な発想は、ときに異種の掛け合わせから生じます。例えば、「イチゴ大福」とか「回転寿司」がそうです。この発想はどうしたら生まれるのでしょうか───?

それは論理的手順によって生まれるというより、“セレンディピティ”的な偶発の作用によることが多いのではないでしょうか(論理が不要ということではありません。論理は前提として、手段として不可欠なものです)。その偶発の作用を呼び込むために重要なものが「発想を生むレディネス(readiness)=意識・能力の準備状態」です。


この「レディネス」を鍛えるために、「コンセプチュアル思考」では『ポット・マジック・アイディエーション(ポットの魔法によるアイデア発想)』というワークを用いています。ランダムに引き当てた言葉のカードを掛け合わせて、新しいコンセプトの商品・サービスの発想をするという思考トレーニングです。

本記事で以下に紹介する答案サンプルは、「コンセプチュアル思考」ワークショップで実際に出されたアウトプットです。今回、受講者たちは旅行代理店の商品開発担当者になったと仮定してワークを行ないました。想定外の言葉(=概念・切り口)を掛け合わせて、さて、どんな旅行商品の発想をしたでしょうか―――


◆受講者の答案サンプル


自分の担当する商品・サービスの発想をするとき、私たちはどうしても既成の枠内で閉じて考えてしまいがちになります。それでは、「コロンブスの卵」的な大きな発想はできません。他社との差別化も難しいでしょう。枠を破るために、このワークのようにまったく想定外の言葉を強制的にぶつけて掛け合わせてみる。そういう思考・意識の鍛えをふだんからやっておくと、「セレンディピティ」を起こす確率を上げることができます。

「発想を生むレディネス」をつくっておくと、街角をふと歩いていても、自分の担当商品・サービスを蘇らせる異種の掛け合わせ概念を引き寄せることができます。偉大な科学者パスツールはこう言いました───

「チャンスは心構えした者の下に微笑む」。
Chance favors the prepared mind.

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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