大塚親子は誰と、そして何を闘っているのか

画像: r. nial bradshaw

2016.07.13

経営・マネジメント

大塚親子は誰と、そして何を闘っているのか

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

大塚家具を舞台にした「第一幕」、そして別々の会社として競う「第二幕」。いずれにおいても世間に溢れる「親子喧嘩」や「事業承継の失敗」といった見方は皮相に過ぎる。今や完全に別路線を歩もうとしている2人の経営者が率いる別々の「大塚」は、実は競合すらしていない。

記事で指摘している久美子社長の「一般大衆路線」とは、勝久氏が進めた「高級品を求める富裕客を中心にした比較的狭いゾーンをターゲティングした路線」から離れ、(高級品を求める富裕客だけでなく)中価格帯が訴求するはずのミドル層の消費者に対し、「ウチは高額品だけではなくリーズナブルな価格帯の品も豊富にありますよ。お気軽に立ち寄ってください」とアピールする路線に切り替えるものです。つまり久美子社長の戦略は、顧客ウィングを下方すなわちミドル層にまで広げようとするものです(決して富裕客を捨てようとするものではないことに注目!)。この戦略の方向性を重視し、そして匠大塚の狙う「富裕層へのフォーカス路線」との対比のため、小生は記事中で「一般大衆路線」と呼んでおります。

あえて繰り返しますが、大塚家具がIKEAやニトリといった低価格帯中心のセルフ店になったとも、なろうとしているとも、小生は考えておりません。

なお、大塚家具の広報室からは「取扱いの価格帯では、匠大塚さんと当社とほぼ同じです。…同規模の有明をご覧いただくと高額品の品揃えにおいても有明が豊富なことがご理解いただけます」というコメントをいただいております。

また同室からは「どなた様でも比較的気軽にご自身の判断で購入できる低価格チェーンとは異なり、やはり商品の価値や造りの違いのご説明、プロとしてのソフト提案力は必要不可欠となりますので、対面販売・接客重視であることは両社変わりません」とのコメントもいただいております。全くその通りだと思います。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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