外国人技能実習制度を廃止せよ

画像: C Foulger

2016.01.20

ライフ・ソーシャル

外国人技能実習制度を廃止せよ

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

それは国がサポートする外国人向けブラック雇用制度。その実態は今や諸外国からも糾弾されつつあるばかりか、必然的に急増している技能実習生の逃亡・失踪は不法就労に直結している。勇気をもって止めよう。

The Worst Internship Ever: Japan’s Labor Pains

もちろん、「タコ部屋」ともいえるほど極端に悪い労働環境に閉じ込めているような悪質な企業や農家は一部に過ぎないと信じたいが、大半の企業・農家での労働実態は「技能習得」という名目とはかけ離れたものだと指摘されている。

つまり、母国に持ち帰る価値のある高度な技能を教えてもらえる機会などなく、延々と単調な作業を繰り返すものだったり、または単なる力仕事だったりするのである。それが体を壊すほど長時間続き、「技能実習」という名目ゆえ不当に安い賃金に抑えられているのだ。

もちろん、雇い主側にも言い分はある。彼らは単に「働き手」が欲しいだけで、自分たちがこんな制度を欲した訳ではないし、その現場には「教える高度技能などほとんど存在しない」というのが多くの本音だろう。それにたとえ何らかの専門技能の蓄積があったとしても、最長でも3年で帰国する外国人に対し熱心に指導する気にはなりにくいだろう。これは本質的に欠陥制度なのだ。

技能実習生の側にはさらに切羽詰まった事情が存在する。多くの実習生は日本語研修などの準備段階で本国の送り出し機関に大金を支払うため、多額の借金を背負っているのだ。その費用たるや(国や送り出し機関によって大きな開きがあるが)日本円にして100~200万円とされる。現地通貨に直せば、田舎なら家が一軒建つほどではないか。

それほどの大金を支払ってまでも日本で働きたいというのは、過去に日本へ出稼ぎに行って大成功して帰国した人の事例を聞いているからだ。それは為替が円高だった時期で、かつ日本の製造業がまだ元気だった頃には可能だったかも知れないが、今や幸運な例外に過ぎない。

家族と親戚一同からかき集めた金に加えて、多額の借金までして、一家の期待を一身に背負って日本で働き始めた実習生の少なくない割合がやがて、事前に訊かされていた話とは全く違うことに気づくのだ。

母国で使えない「技能」、朝から晩までの長時間労働、借金を返すにはあまりに安い賃金。雇い主に「話が違う」と訴えても、「文句なら本国の送り出し機関に言え」とされる。ブラックな実態を日本の役所に訴えて、もし受け入れ中止となったら自分は帰国させられる。そうしたら残るのは大きな借金だけだ。そう考えると、泣き寝入りするしかない。

そんなのっぴきならない状況に陥った彼ら・彼女らに、日本にいるブローカーが甘い声で近づく。「そこを逃げろ。もっとずっと稼げるところがある」と。こうしたブローカーは、安い外国人労働力を探している他の日本企業や農家に実習生を仲介して稼ぐのだ。当然これは非合法である。雇い入れる企業・農家もまた非合法であることを認識しながらも、逃亡した元実習生ならば安く使えると考えているのだ。皆で実習生を食い物にする構図だ。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

当社は新規事業の開発・推進・見直しを中心とした戦略コンサルティング・サービスを提供しております。代表である私は、30年にわたる戦略コンサルティングと、実務での新規事業開発の経験を基に、企業の特性と事情に合わせた「実践的アプローチ」、「3倍速のスピード感」、「サイド・バイ・サイドの姿勢」を持って、経営者の思いを実現することを心掛けています。 新規事業やサービスの開発においては、テーマ探索~事業仮説開発~検証~試行といったプロセスに沿って一気通貫でご支援することもできますし、必要に応じて一部だけを抜き出して対応することもできます。 詳しくは弊社HPをご覧ください。ご登録いただければメルマガもお届けします。

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