社会インフラを考える (9) 高速道路での逆走防止を急げ

画像: JAF

2015.01.29

経営・マネジメント

社会インフラを考える (9) 高速道路での逆走防止を急げ

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

高速道路での逆走防止は喫緊の課題。認知機能が低下した高齢者ドライバーの免許更新の制限や、標識・看板の視認性向上だけでは不十分で、「逆走警告システム」の開発こそが求められる。

ただしこの対策の効果にも限界があり、認知機能が低下した人にはこうした対策が通用しない恐れがある。つまり「自分は正しい方向に進んでいる」と思い込んでいる高齢の認知症ドライバーには、侵入禁止マークや逆走を示す標識そのものが、自分に向かって発信されているメッセージとは認識できない可能性が高いからだ。

ただでさえ人間は高齢になると頑固になり、「周りが間違っていて、自分のほうが正しい」と考える傾向が強くなる。ましてや認知機能が低下した状態では、そうした標識に十分な注意を払っていないと考えざるを得ない。

ラバーポールが延長されて設置されていても、「なんだ邪魔な置き方をしおって!」などと怒るだけで、結局中央線をまたいでしまい、逆走するかも知れない。もちろん、対策しないよりはずっとましではあるが。

では本質的にはどういった対策が求められるのだろうか。小生は大胆かつ効果的な方策として「逆走警告システム」を提言したい。

国土交通省が主導して、高速道路各社にクルマの逆走を感知できるセンサー付きのビーコンを、出口付近など逆走の発生しやすい箇所に設置させる。そしてカーナビメーカーには、そのビーコンの情報を取得してドライバーに大音量で警告を放つ音声付きカーナビ(の付加機能)を開発してもらうのだ。

ITS(高度交通情報システム)でもあり、一種のM2M(物対物)システムでもある。


日本の高速道路には実に多様なITS機器・システムが設置されているが、その多くは必ずしもドライバーにとって大したメリットにはなっていない。それらに比べ、この「逆走警告システム」であれば、安全対策として費用対効果はかなり高いといえるだろう(誰も逆走車には出遭いたくないだろうから、その投資に反対しないはず)。そしてこの警告機能が付いたカーナビであれば、高齢者ドライバーがいる家族ならこぞって装備するだろう。いかがだろうか?

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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